Market Analysis
FOMCの焦点は、声明文の内容となろう。3月のFOMC議事録では強気の景気見通しをベースに利上げペースが加速する可能性を示唆する内容だった。3月時点から米指標データに景気が鈍化するシグナルは見られない。よって、今回の声明文でも景気見通しについて強気のスタンスを維持する可能性が高い。目先のリスク要因として、保護主義貿易に対する懸念を強めてくる可能性はある。だが、この問題についてはトランプ米政権が具体的に次の政策を打ち出さない限り、米ドル相場や米国市場(株式/債券)の変動要因とはならないだろう。今回のFOMCは米ドル高イベントと想定したい。
FOMC以外で注視すべき米国イベントは、4月雇用統計である。焦点は非農業部門雇用者数(予想:19.3万人)と平均時給(前年比予想:2.7%増)となろう。どちらか一方だけが市場予想以下となり米ドル安圧力が高まっても、FEDのタカ派姿勢と原油高に伴う米長期金利の上昇を考えるならば、米ドル相場の下落幅は限定的となろう。一方、総じて市場予想以下となれば米ドル高基調が一服しよう。
注視すべき通貨ペアはユーロドルとなろう。上記の米国イベントが長期金利の上昇圧力を強めるならば、投機筋はユーロ買いポジションをさらに縮小する動きを見せよう(CFTCデータでは未だ13万枚以上の買い越し)。対ユーロで米ドル高継続となれば、ドル円のサポート要因となろう。だが、ドル円の110円トライには米株高が同時に発生することが必須条件であり、この点は四半期決算次第となろう。一方、雇用統計が総じて冴えない内容となれば、上記のとおり米ドル高圧力が後退することで、ユーロドルは一度反転する展開を想定したい。ドル円は「米長期金利の低下vs米株高の維持」に挟まれ、109円前後でのレンジ相場が想定される。四半期決算の内容で米株に調整圧力が強まる場合は、108円台の維持が焦点となろう。