Analyst's view
米債務上限問題を巡りトランプ米大統領は6日、民主党側から提案された3か月間(12月中旬まで)の債務の上限引き上げ案に合意したと発表した。これにより、筆者が懸念していた9月の株安材料のひとつがひとまず後退。また、欧米株式のボラティリティが再び低下基調へ転じている点は、北東アジアの地政学リスクを巡る懸念も一服していることを示唆している。
残る株安材料は、本日のECBイベントだろう。ドラギECBがユーロ高に言及することなく、テーパリング(量的緩和の縮小)開始の決断を下すならば、欧州金利には上昇圧力が強まろう。そして米独利回り格差の縮小が進行し、外為市場ではユーロ高圧力が強まろう。ユーロドルは節目の1.20を突破し、年初来高値の更新が焦点として浮上しよう。このシナリオでの懸念材料は欧州株の動向だろう。「金利高 / ユーロ高」は欧州株のネガティブ要因である。欧州株が下落すれば、その影響は米株にも波及しよう。
逆にユーロ高のネガティブ要因と未だ2.0%未満で推移している域内のインフレ動向を重視し、次回以降の理事会までテーパリング開始の決定を見送る決断を下す場合、4月以降進行してきたユーロ高の調整圧力が強まろう。このシナリオでのユーロドルの下値焦点は、短期サポートラインの維持となろう(チャート参照)。このラインを下方ブレイクするならば、節目の1.15の維持が次の焦点として浮上しょう。尚、フィボナッチは、4月~8月高安の38.20%戻しが1.60下、同50.00%戻しが1.14ミドルレベルに位置している。後者のシナリオの場合、欧州株は上昇する可能性が高く、円相場はポンド円、豪ドル円そしてカナダ円といった通貨ペアが上昇幅を拡大する可能性がある。ドル円は、対ユーロでの米ドル買いや株高を背景に上値トライの展開が想定される。だが、米金利の低空飛行状態が続く限り、上昇幅は限定的だろう。ECB理事会後も108.00-111.00の攻防を想定したい。