Market Analysis
8月米雇用統計で賃金の上昇圧力が高まっていることが判明。減税効果も考えるならば、米国の個人消費が拡大基調を維持する可能性が高いことを示唆する内容となった。雇用統計の結果を受け米長期金利は2.95%まで急騰し、外為市場は米ドル買いとセオリー通りの反応だった。堅調な労働市場に加え、対中関税第3弾に対する警戒心が高まっていることも考えるならば、今週の米ドル相場は対主要通貨で底堅い展開を維持しよう。最も注視すべきはユーロドルの動向だろう。現在は、21日MA(1.1553レベル)が下値の攻防分岐となっている。ユーロプットの需要がにわかに高まっている状況を考えるならば、このMAの完全な下方ブレイクおよび1.1500トライを意識したい。一方、ユーロドルが反発するならば、13日のECBイベントおよびトルコ中銀イベントの内容次第だろう。前者の注目点は、経済/インフレ見通しとなろう。不透明な国際貿易摩擦の動向とトルコ情勢を受けて尚、ECBサイドが将来の見通しに強気のスタンスを示すならばユーロを買い戻す圧力が高まろう。このケースでは、10日MA(1.1623レベル)および1.1660レベル(9月6日高値)の突破が焦点となろう。これらレジスタンスポイントの突破は、1.17トライのシグナルと想定したい。だが、ユーロドル下落の根底にあるのは、米欧ファンダメンタルズの格差とそれに伴う金融政策のコントラストである。これらが解消されない限り、ユーロドルの反発は一過性で終息しよう。一方、後者のトルコ中銀イベントは利上げが焦点となろう。トルコ中銀は高インフレに対抗するため、利上げを実施する公算が高い。実際それに踏み切れば、市場はトルコリラ買いを仕掛けよう。トルコリラの上昇は他の主要な新興国通貨のサポート要因となり、それに伴い米ドル高圧力も後退しよう。だが、直近の対米ドルでのリラ買いは、利上げについて市場がある程度意識していることを示唆している。また、低金利政策を好むエルドアン氏が国のトップにいる限り中銀の独立性に対する懸念が残る。よって、ECBイベントと同様に、トルコ中銀イベントも一過性の米ドル高圧力の後退要因として意識したい。
ドル円は引き続き株式、特に米株にらみの展開となろう。良好な米ファンダメンタルズと国際貿易摩擦に対する思惑が交錯することで、今週の米株は売り買いが交錯する展開を想定したい。米株高局面でのドル円は、短期レジスタンスラインおよび111.80のレジスタンスポイントを視野に上昇幅が拡大しよう。一方、米株高の調整局面では110.00トライを想定したい。だが、対中関税第3弾の動きが加速する場合、リスク回避圧力が高まる展開を警戒したい。このケースでは109.50レベルまでの下落を意識したい。
【チャート①:ユーロドル】