Analyst's view
今週の外為市場の焦点は、米連邦公開市場委員会(FOMC)となろう。金融政策については、利上げ見送りと量的緩和政策で膨張した保有資産の縮小開始の決定、というのが市場のコンセンサスであり、FEDがこの点でサプライズを提供する可能性は低い。よって、今回の会合の焦点は、最新の経済見通しとFF金利予測(ドットチャート)となろう。
経済見通しでは、インフレ予測に市場の関心が集まろう。米経済が堅調さを保つ中、FEDがインフレ指標として最も注視するコアPCEは2017年に入ると低下の一途をたどり、6月時点の予測範囲1.6%-1.7%(第4四半期対比)のレンジを下回る1.4%(前年同月比)まで低下している(チャート①参照)。また、コアCPIでもインフレの鈍化が鮮明となっている(チャート①参照)。インフレ動向を鑑み、ドットチャートが6月時点よりもハト派に傾けば、米利上げペースの後退観測を背景に米債券市場での調整相場が終了しよう。それに伴い金利には再び低下圧力が強まろう。そして、外為市場では米ドル安の巻き戻し相場(=米ドルのショートカバー)も終息するだろう。
ハト派のFOMCとなる場合、上昇圧力が強まると想定されるのがカナダドルや豪ドルだろう。FEDに追随し金融引き締めに舵を切った、もしくはその期待がサポート要因として作用され易い環境にあり、且つ資源国通貨としての妙味も意識される可能性が高いからだ。また、金融引き締めの観点で考えるならば、期待先行相場となっているユーロや英ポンドも対ドルで上昇基調を維持する可能性がある。
一方、円相場は円売り優勢の展開を想定したい。ハト派のFOMCは米金融セクターのネガティブ要因(=利ザヤ収益懸念を強める要因)だが、米株全体で考えるならば、米金融引き締めペースの鈍化は米株のポジティブ要因と捉えられよう。また、米ドル安は国際商品市況にとってポジティブ要因であることから、資源セクターの押し上げ要因となるだろう。さらに、上述した資源国通貨や新興国株式 / 通貨の上昇圧力を強める可能性もある。株高 / 国際商品市況高は言うまでもなくリスク選好要因であり、故にカナダドルそして豪ドルといった通貨を中心に円安圧力が継続することを想定したい。ドル円は、円安を背景に200日MAを突破できるかどうか、この点が上値の焦点として浮上しつつある(チャート②参照)。