Market Analysis
今週初めは、日銀金融政策決定会合が円相場のトレンド決定要因となろう。現状、日銀の政策を巡っては政策調整の可能性を指摘する情報とインフレ見通しを下方修正すると同時に現行の政策を維持するとの情報が交錯している。先週のドル買い局面でドル円の上昇幅が抑制された状況を考えるならば、政策調整に対する市場の警戒心がうかがえる。だが、低迷する物価上昇率、政策調整後の円高リスク、そして9月下旬に自民党総裁選が控えている政治日程等を総合的に考えるならば、黒田日銀が今回の会合で政策調整を決定する可能性は低い。よって、内容が判明するまで円買いが散見される可能性はあるが、その影響は限定的というのが日銀イベントに対する現時点でのベースシナリオである。
一方、7月FOMCはドル買いイベントとして注目したい。焦点は声明文となろう。パウエル議長は7月17-18日の議会証言で段階的な利上げを推し進める方針について改めて言及している。金融引き締め政策のベースとなっているのが良好な経済状況である。4-6月期GDP速報値は4.1%と個人消費の回復が寄与し、2014年第3四半期以来の伸び率となった。FEDは常々ファンダメンタルズの堅調さを指摘しており、それが具体的な数値で確認されたとなれば、これまでの景気見通しを変更してくる可能性は低い。よって、7月FOMCは9月利上げ観測を高める内容となる可能性が高く、米ドル高イベントと想定したい。
今週のドル円は反発基調を想定。黒田日銀による政策調整(リスクシナリオ)がない限り、まずは先週のレジスタンスポイント111.60トライが注目される。この水準を難なく突破する場合は、112円台を視野に上昇幅の拡大を想定したい。一方、リスクシナリオが発生するケースでは、110円割れを警戒したい。株式動向次第で6月上旬のサポートポイント109.20レベルまで下落する可能性がある。111.60-80にはオファーが観測されている。一方、110.80から110.40にかけては断続的にビッドが並んでいる。
一方、ユーロドルは1.1500-1.1800レンジの攻防を想定したい。だが、トライアングル上限(短期レジスタンスライン)で上値が抑制されているタイミングで、ドル高イベントとしてのFOMCを控えているタイミングを考えるならば、警戒すべきは1.15台の攻防シフトである。1.1750および1.1800にはオファーが観測されている。一方、1.1600、1.1550および1.1500にはビッドの観測あり。
【チャート①:ドル円】