Market Analysis
米国とカナダ間の貿易交渉に進展は見られず。そして今後は、対中関税第3弾の発動に対して警戒心がより高まるフェーズへとシフトする。ドル円のトレンド決定要因である米株は国際貿易摩擦が意識され、ここ数日強弱まちまちの状況が続いている。ボラティリティの動向を確認すると、S&P500のそれは上昇基調にあるが低水準での推移を維持しており、投資家のセンチメントが依然として強気であることを示唆している。このセンチメントを変化させる要因として目先注視すべきは、ハイテクセクターの動向となろう。ナスダック100のボラティリティは警戒水準の20ポイントレベルまで上昇中。主力ハイテク企業が抱える個別のリスクが意識されているタイミングで対中関税第3弾の早期発動となれば、株高のけん引役であるハイテクセクターは一転して米株の重石となろう。米株の調整相場はドル円の下落要因である。本日はビッドが観測されている110.50が下値の攻防分岐となろう。米株安が続けば5月安値108.10を起点とした短期サポートラインおよび110.00トライを警戒したい。このレベルにもビッドが観測されている。米株の反発材料として注視すべきは8月の米雇用統計となろう。焦点は賃金動向だが、市場予想2.7%(前年同月比)を上回る内容となれば将来の消費拡大が意識され、米株の反発圧力が高まる展開を想定したい。このケースではドル円も反発地合いとなろう。焦点は21日MA(110.93レベル)および10日MA(111.13レベル)の攻防となろう。
一方、本日のユーロドルは米雇用統計次第でトレンドが決定されよう。国際貿易摩擦の問題が意識されている状況下では米ドル高圧力が上値を抑制するだろう。米雇用統計が総じて良好な内容となればさらにその圧力が高まろう。このケースでの焦点は、21日MA(1.1550)の下方ブレイクである。逆に米雇用統計が冴えない内容となれば、10日MA(1.1642)の突破を想定したい。だが、上述したとおり国際貿易摩擦の問題が意識さている状況下では上昇幅は限られよう。1.1700手前での反落を警戒したい。1.1680から1.1700にかけてはオファーが断続的に観測されている。
【チャート①:米株のボラティリティ】