Analyst's view
ダドリーNY連銀総裁は19日、インフレ圧力の後退を示唆したものの、景気拡大と賃金上昇に楽観的な見方を示した。この発言を受け米金利は反発。ただ、今年2回目の利上げに踏み切り、且つ上記の発言を受けて尚、FOMC前の水準2.22%すら未だ回復できない現状を考えるならば、米債券市場は株式市場程、景気の先行きを楽観視しているわけではないことを示唆している。米金利が持続的に上昇基調を維持するためには、ダドリー発言を裏付ける証拠、つまり良好な指標データが必須条件となろう。
注視すべき指標は、米経済のエンジンである個人消費関連指標と米金融引き締めペースを左右するインフレ関連指標だろう。ただ、個人消費は、2016年第4四半期の3.5%増(確報値)から2017年1-3月期は0.6%増(改定値)と急減速している。また、インフレ動向では、コアCPIやFRBが注視するコアPCEも2017年に入り低下基調を辿っている。これら指標データが再び上向くためにはやはり賃金の上昇が求められる。「賃金増→個人消費拡大→景気拡大→インフレ(期待)の上昇」という好循環の土台となるからだ。ただ、この点を見極めるためには6月雇用統計を確認する必要がある。それまでは住宅関連指標、耐久財受注、個人消費支出といった目先発表される指標データの内容と米金利の反応をひとつひとつ確認していくことが重要なテーマとなろう。
ドル円は、本日早朝時間に108.81レベルからの50.00%戻し111.60レベルの突破に成功している。FOMC前に進んだ米債買いのポジション調整が進行する間は上値トライを想定したい。次のテクニカルターゲットは111.80-112.00ゾーンで展開している日足一目の雲となろう。下限が推移する111.80にはオファーの観測あり。112.00にもオファーが観測されている。下値は21日MAが推移している110.73レベルの維持が焦点となろう。一方、ユーロドルだが、下値は1.11の維持、上値はレジスタンスラインとして意識さている日足基準線(今日現在1.1214レベル)の突破がそれぞれ焦点となろう。