Analyst's view
今週の外為市場が米FOMCにらみの展開であることは、12日のレポート「FOMCと米ドル相場 ①」で述べた。金利予測が前回見通しを維持する内容となれば、米ドル売り圧力が強まると指摘した。何故なら、6月利上げはすでにメインテーマではなく、且つ年3回の利上げペース(残り2回)とバランスシートの縮小も市場は織り込み始めているからだ。
今年に入り米政策リスクに敏感に反応している米金利が上昇基調を維持する材料は、目下のところ良好な指標データのみである。ただ、米経済の成長を左右する賃金上昇ペースは2.5%増(5月、前年同月比)と、抑制された状況が続いている。賃金の伸びが抑制された状況は個人消費の拡大の阻害要因となろう。「賃金の抑制→個人消費の低迷」の状況が続けば、FEDが注視するインフレへの上昇圧力も後退しよう。実際、今年に入りコアCPI / コアPCEはともに低下基調を辿っている(チャート①参照)。
これら指標データの内容を鑑みて尚、FED内の金利予測が加速というかたちで示されるならば、市場は9月利上げを早くも意識しよう。その場合、米ドル相場のトレンド決定要因である米金利には上昇圧力が強まろう。ドル円は、短期レジスタンスラインを難なく突破する可能性が高い(チャート②参照)。一方、1.1300の突破に失敗し続けたユーロドルでは調整色が強まろう。短期サポートラインを下方ブレイクし、1.10割れの展開を警戒したい。ただ、このシナリオで最も注意すべきは、高値圏にある米株の調整だろう。米株高をけん引してきたハイテク株への売り圧力が強まっているタイミングで、年3回以上の利上げペースの可能性が台頭すれば、絶好の調整材料となろう。それを意識してかVIX / VSTOXXはともに上昇基調にある。調整相場の深さや期間によっては米金利は利上げペースよりも、株安(=リスク回避)の方に反応しよう。その結果、ドル円の上値がレジストされよう。