Market Analysis
新味に欠けた5月のFOMC議事録、トランプ政権による自動車および関連部品に対する追加関税の可能性、そして突然の米朝首脳会談の中止を受け、昨日のグローバル株式市場は全面安の展開となった。目下のところ、米長期金利の低下要因は米株安以外に見当たらないが、昨日の動向はこの点を証明するかたちとなった。「米株安→米長期金利低下→日米利回り格差の縮小」を背景に、ドル円は一時108円台へ突入(チャート①参照)。一見するとリスク回避相場へ転じた感がある。だが、米株のボラティリティを確認すると、未だヒステリックな反応は示していない(チャート②参照)。事実、S&P500は2700-2750ポイントの高値圏で売り買いが交錯しているだけの状況であり、それはダウ平均も同じである(チャート②参照)。米株のボラティリティが低水準で推移し続ける限り、現在の株安は調整相場と捉えたい。だが、上値が重くなっていることは重要な事実であり、その影響はドル円の上昇圧力を後退させる要因となろう。
今後、米長期金利の低下圧力を高めるもうひとつの要因として警戒すべきが、原油価格である。6月22日に開催予定のOPEC総会で協調減産の緩やかな縮小が協議される可能性が報じられている。ロシアとサウジアラビアの動向が鍵を握るだろうが、原油高を支えてきた最大の要因に対して不透明感が高まるならば、原油価格の調整がより大きくなる可能性がある。このケースでは米長期金利の低下幅が拡大する可能性を意識したい。
本日のドル円は上値の重い展開を想定したい。下値の攻防分岐は、111円台上昇の起点となった108.60レベルとなろう。一方、上値は21日MAがレジスタンスラインとして意識されるかどうか、この点を注視したい。108.50および108.00にはビッドの観測あり。ユーロドルは短期的な反発相場を想定したい。上値の攻防分岐は5日MAとなろう。このテクニカルの突破に成功しても、ユーロ圏のファンダメンタルズに対する不透明感が意識されている状況下では、22日高値1.1829を突破する可能性は低い。下値の焦点は23日安値1.1674となろう。1.1800にはオファー、1.1680にはビッドがそれぞれ観測されている。
【チャート①:ドル円と日米利回り格差】