Analyst's view
米税制改革は「株高 / 金利上昇」要因であることを20日の米国市場は示唆している。大規模減税政策は「個人消費の活性化→景気のさらなる拡大→インフレ率の上昇」という経済の好循環をつくる起爆剤となり得るからだ。
今週、ドル円の上値レベルを決定づけるのは、米10年債利回りとなろう。米税制改革期待に加え、第48回衆議院選挙の大勝を受けたアベノミクスの継続期待を背景に株高トレンド維持の公算が高まっている現状、円高圧力が強まるリスクは限りなく低い。このような状況の中、米税制改革期待に対する期待先行で10年債利回りが5月以降キャップされ続けてきた2.4%レベルの完全突破に成功すれば、ドル円は「株高=円安」圧力に「金利上昇=米ドル買い」の圧力が加わることで、重要レジスタンスポイント114.50の攻防が焦点として浮上しよう。この重要レジスタンスポイントの突破に成功すれば、115円台を視野にさらに上昇圧力が強まろう。一方、下値の焦点は111円ミドルレベルの維持となろう(チャート②参照)。CFTCによれば、投機筋の円売りポジションは10万枚以上積み上がっている。一時的な調整により111円ミドルをトライする可能性がある点を常に意識しておきたい。
ユーロドルのトレンドはECB理事会の内容次第で決定されよう。焦点は、量的緩和の段階的縮小(=テーパリング)の有無となろう。来年早々にもテーパリングに着手する決定を下せば、素直にユーロ高で反応するだろう。しかし、直近の報道を見る限りこの可能性は低い。テーパリングを決定しても、その期間が半年以上となれば、利上げ期待が再来年にずれ込むとの観測を背景にユーロ売り圧力が強まる可能性がある。一方、今回は議論に終始し、12月の理事会までテーパリングの決定を先延ばしにする場合は、金融正常化への期待が急速に後退し、ユーロ独歩安の展開が想定される。ハト派のドラギ総裁だけに、後者のシナリオを選ぶ可能性は残る。また、スペイン中央政府とカタルーニャ州との軋轢が深まる可能性(=中央政府は同州の自治権停止の手続きに入ることを閣議決定し、州幹部の解任と中央政府が同州を直接統治することを上院に提案)や日足基準線で上値がレジストされているテクニカル的な状況も考えるならば、今週のユーロ相場は下落トレンドの加速を警戒したい。目先の下限は1.1650レベル(チャート③参照)。このレベルを下方ブレイクする場合は、1.15トライの可能性を想定したい。