2018 Outlook
2018年の外為市場は、2017年で決着がつかなかった「米ドル安vs円安」の延長戦が繰り広げられる1年になると想定している。その主因は、株高と米長期金利の関係性にある(チャート参照)。年初から世界の株式市場は株高トレンドが鮮明となる一方、米長期金利は2.5%が新たなレジスト水準として意識されている。低インフレ懸念が完全に払しょくされない限り、今年の米長期金利も株高に追随出来ない状況が続くだろう。この点は、2018年の米金融引き締めペースに対する不透明感を市場に意識させよう。また、米政治リスクー今年秋の中間選挙を意識しトランプ政権が通商政策(=米ドル安政策)で点数を稼ごうとするリスク / 大規模減税による税収減を穴埋めする議論が昨夏以降停滞しているが、今年もこの点に関する議論が進展しなければ財政悪化懸念が高まるリスク―も米ドル安要因となり得る。
一方、株式市場は、米国のISM製造業指数、そして欧州&中国の製造業PMIが2016年以降上昇基調を維持している点を考えるならば、製造業セクターが世界的に好循環を維持する可能性が高い。各国経済は製造業セクターがけん引役となり持続的な景気拡大が期待される。また、上述した理由を背景に米ドル安が継続するならば、国際商品市況も堅調地合いとなることで株高トレンドをサポートしよう。だが、今年5月以降は米中間選挙やECBの金融政策が意識されることで上下に振れる展開が散見される可能性がある点は要注意。
Today's Views
本日は12月のユーロ圏HICPと同月の米雇用統計が焦点となろう。前者が市場予想を上回るならば、米独利回り格差の縮小を背景にユーロドルは1.21台の水準へ上昇する展開を想定したい。だが、ユーロドルが上値トライとなっても、その持続性は米雇用統計、特に平均賃金次第となろう。市場予想は2.5%増(前年同月比)。予想以上ならば、米長期金利に上昇圧力が強まることでNYタイムは米ドル買い優勢の展開が想定される。また、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 /メスター・クリーブランド連銀総裁の講演内容も米ドル相場の変動要因として注目したい。