Analyst's view
24日に投開票されたドイツ連邦議会(下院)選挙では、単独過半数の獲得こそならなかったが、メルケル現首相率いる与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党となる見通しとなった(公共放送ZDF)。4月のフランス選挙に続き、メルケル続投も決定したことで欧州政治リスクは完全に後退。ユーロ相場の下落要因がまたひとつ消えたと言えよう。
今後のユーロ相場を見極める際、市場関係者はECBによる金融緩和政策の変更、この一点に注視することになろう。本日は、日本時間22時にドラギ総裁の講演が予定されており、独金利とユーロ相場の変動要因として注視したい。また、16時にコンスタンシオECB副総裁、18時15分にメルシュECB理事そして23時45分にはクーレECB理事といったECBキーマン達の講演も予定されている。ドラギ講演同様、10月ECB理事会に向け、政策変更にかんする地ならし発言の有無が焦点となろう。本日のユーロドルだが、下値は4月のフランスリスク後退後の安値レベルを起点とした短期サポートラインの維持が焦点となろう(チャート②参照)。一方、上値の焦点は1.20台の回復とその維持にあろう。
本日はFEDスピーカー達の講演も予定されている。注視すべきは、金融政策の決定に大きな影響力を持つダドリーNY連銀総裁の講演となろう(日本時間21時30分)。同氏は、今月8日のNY講演や9日のCNBCテレビとのインタビューで低インフレについて懸念を表明。この点についてあらためて言及する場合、米債市場では債券を買い戻す動きが強まる可能性がある。それは米金利の低下を意味することから、米ドルには売り圧力が強まろう。本日のドル円は、111.00-113.00のレンジを想定したい。直近安値107.31からの76.40%戻しの突破は113.00トライのシグナルと捉えたい。この場合、米国市場ではリスク選好(=米株と米金利の上昇)となっているだろう。尚、113.00には厚いオファーの観測がある。一方、22日安値111.65を下方ブレイクする場合、対ユーロで米ドル安が進行している可能性が高い。株高の調整も合わされば111.00トライの展開を想定したい。