Analyst's view
10月の米CPIコア(前年同月比)は、市場予想1.7%を上回る1.8%だった。CPI発表、徐々に米10年債利回りが反発基調へ転じた。これを受けドルインデックスも上昇した(チャート①)。しかし、リスク回避相場を受けロンドン勢が引けた後の米金利には再び低下圧力が強まった。CPIコアの影響が限定的だった事実は、低インフレ懸念に対して市場が抱く懸念の根深さを示唆している。この状況から脱する効果的な手段として注目されるのが税制改革(=トランプ減税)だが、上下両院で審議入りとなっているものの、一本化に向け動き始めているという報道は未だ見られない。株式市場が調整ムードを強めている点も考えるならば、米金利が持続的な反発基調へ回帰する可能性は低い。よって、米ドル相場が持続的な上昇トレンドを形成する可能性も現時点では低いだろう。
本日のドル円も上述した状況を鑑み、下値トライを警戒したい。テクニカル面での下値の攻防分岐は、昨日相場をサポートした50日MAとなろう。昨日安値112.47下の112.40にはビッドが観測されている。これらサポートポイントを一気に下方ブレイクする展開となれば、112.00トライを想定したい。このレベルにもビッドの観測あり。また、下の水準にはストップも観測されている。上値の焦点は10日MAトライとなろう(チャート②)。一方、ユーロドルは89日MAの攻防に注目したい(チャート③)。このMAを維持する展開となれば、1.1860をトライする可能性が高まろう。逆に下方ブレイクする場合は、1.17台の維持が下値の焦点として浮上しよう。ユーロドルの変動要因として本日注視すべきは、要人発言となろう。本日はカーニーBoE総裁をはじめとした英金融政策当局者の討論会の他、FEDスピーカーの講演も予定されている。前者の討論会で英国経済に対するネガティブな見通しやハト派的な金融政策の見解が示されるならば、ユーロポンドの上昇がユーロドルのサポート要因となる可能性がある。一方、FEDスピーカーの言動で米金利が上下に振れれば、こちらもユーロドルの変動要因となろう。