Analyst's view
25日のユーロドルは陰線が示現。ドラギ講演後、独金利に対してさらに低下圧力が強まった点を考えるならば、金融緩和政策からの脱却に対する期待の後退が、ユーロ売りの主因と考えられる。ドラギ総裁としては、金融緩和からの脱却は必要だがそれに対する期待を背景とした過度のユーロ高は回避したい、との思惑が交錯しているのだろう。後者の懸念(=ユーロ高懸念)の方がECB内で意識され、今後もキーマン達から金融政策についてハト派的な言動が続くならば、ユーロドルは調整地合いの色を強めよう。テクニカル面では、フランスリスク後退後に形成されたサポートラインを下方ブレイクし、そのシグナルが点灯している。しかし、米金利に再び低下圧力が強まっている点を考えるならば、ユーロドルの下落幅は限定的と想定したい。目先のサポートポイントは、ビッドが観測されている1.1800の維持となろう。だが、このレベルを下方ブレイクしても、通貨オプション市場でのリスクリバーサルに大きな変動が見られない点を考えるならば、今週は日足一目雲の上限が推移している1.17前後でサポートされる展開を想定したい。
一方、米長期金利(=10年債利回り)だが、2.3%手前で上昇圧力が失速し、再び低下基調へ転じている(チャート参照)。7月の金利低下局面(=米債買い局面)で積み上がったロングの調整が一巡した可能性があるが、目先注視すべきは、やはり北東アジアの地政学リスクの再燃だろう。北朝鮮が警告する「宣戦布告」に対する反応が、かねてから警戒されている米領グアムへのミサイル発射であるならば、各市場は一気にリスク回避ムードに覆われよう。この場合、安全資産としての妙味から米債への資金シフトが加速すると同時に、外為市場では米ドル安圧力が強まろう。また、米株をはじめとした株式市場では下落圧力が強まろう。この場合、ユーロドルは「米金利低下→米ドル安」を背景に堅調地合いとなることが想定される。一方、ドル円は一気に110円を割り込む展開となろう。株安のレベルによっては108円台の攻防への再シフトを想定したい。ユーロドル、ドル円の詳細なチャート分析は、テクニカルレポートにて。