Market Analysis
「原油高=米長期金利の上昇」という構図が崩れている。しかし、3.0%を視野に米長期金利の上昇基調が続いている状況は、堅調な米国経済が新たな金利上昇の要因として債券市場で意識されていることを示唆している。
この状況に対する反応として注視すべきは2つ。ひとつは米株の反応である。米長期金利が再び3.0%へ向け急反発しているにもかかわらず、今年2月のようなヒステリックなリスク回避の反応は見られない。事実、米株のボラティリティは低水準で安定的に推移している。これは、米金利の上昇に対する耐性が株式市場で強まっていることを示唆している。4月以降のドル円は日米利回り格差が上昇の土台となっているが、米株高が加速する現状も考えるならば、目先は上値トライの継続を想定したい。110.50のオファーをこなす展開となれば、フィボナッチ・プロジェクション38.20%の水準にあたる110.70レベルをトライする展開を想定したい。このテクニカルをも突破する展開となれば、現時点での今年高値113.38を起点とした短期レジスタンスラインが次のターゲットとして浮上しよう。一方、下値の焦点は21日MAがサポートラインへ転換するかどうか、この点が焦点となろう。109.50前後および109.20にはビッドの観測あり。
もうひとつ注視すべきは、ユーロドルの反応である。本来であれば、現在の米国市場はユーロドルの下落(=米ドル高)要因である。また、ユーロ安の主因である欧州ファンダメンタルズの不透明感も完全に払しょくされていない。だが、実勢相場で「ユーロ高 / 米ドル安」が進行しているということは、上述した「ユーロ安 / 米ドル高」要因から市場の目をそらす新たな材料が市場で意識され始めたということだろう。それはドラギECBにる金融政策の転換の可能性である。だが、米欧ファンダメンタルズが真逆の状況となっている点を考えるならば、ドラギECBが明確且つ具体的に金融政策の転換を示さない限り、思惑だけの上昇は一過性で終息する可能性がある。目先はトレンドフォローを意識し、フィボナッチ・リトレースメント38.20%の水準にあたる1.1850のトライとなるか注目したい。一方、下値は1.17台の維持が焦点となろう。1.1800-50には断続的にオファーが観測されている。一方、1.1700にはビッドの観測あり。
【チャート①:米10年債利回り / NY原油先物 / 米株ボラティリティ】