Market Analysis
9日のドル円は、日銀のオペ減額が意識され112円ミドル割れ。昨年11月高値114.73を起点としたレジスタンスラインで見事に上値がレジストされ、大陰線が示現した(チャート②参照)。テクニカル面ではトレンド転換を警戒したいことろだが、ファンダメンタルズ面では円高圧力が強まる要素が見当たらない。この点で特に注視すべきは、株高トレンドが継続していることだろう。年初以降、米国株式が連日で最高値更新となる等、世界的な株高トレンドは継続中。株式市場が崩れない限り、持続的な円高圧力が強まる可能性は低い。また、米ドル安圧力の後退要因として注視すべきは、米長期金利が再び2.5%の水準を突破してきたことだ。持続的な上昇トレンドを維持するには低インフレ懸念の払しょくが必須条件だが、直近はリスク選好相場に米長期金利が追随している状況となり、日米利回り格差も拡大傾向にある(チャート①参照)。株高と利回り格差の拡大傾向が同時に発生する環境下でドル円が下値トライとなる可能性は低いだろう。目先はトライアングルの下限が下値の攻防分岐となるだろうが、上述した状況が続く限り、このラインを維持する可能性が高い(チャート②参照)。
現在の円相場で下落リスクを警戒すべきは、ドル円ではなくユーロ円だろう。米商品先物取引委員会のデータによれば、投機筋のユーロロングは12.7万枚を突破中。このタイミングで米長期金利が2.5%を突破し、且つドイツの政治リスクも再び意識され易い時期に入っている。投機筋による米ドルの売り越しが46.2億米ドルにまで膨れ上がっている状況も考えるならば、ユーロドルでさらに調整が進行する可能性があろう。対米ドルでユーロ売りが継続すれば、ユーロ円は昨年8月安値127.54を起点とした短期サポートラインを視野に下落幅が拡大する可能性があろう(チャート③)。