Analyst's view
直近の米10年債利回りは、2.48%手前から2.32%台まで低下中(チャート①参照)。米税制改革に対する不透明感と根強い低インフレ懸念が、米金利低空飛行の二大要因である。これら要因に北東アジアの地政学リスクが合わさるならば、ドル円は一気に110円を割り込む可能性が高まろう。「米金利の低空飛行→米ドル安」の状況が続いても、ドル円が110円以上の水準を維持してきた主因は、世界的な株高(=リスク選好)にある。しかし、上記のリスクが再燃する場合、世界の株式市場は一過性にしろリスク回避で反応しよう。そして株安は、米債券市場への資金シフトを加速させ、米金利の低下圧力をさらに強めるだろう。今週は27日のレポート「米ドル相場 3つの抑制要因」で指摘した米ドル安要因に加え、北朝鮮関連の報道にも注視する必要がある。
本日のドル円は、上値の重い展開を想定したい。週明けの海外株式が総じて下落したこと、北東アジアの地政学リスクの再燃が意識されやすい状況では、国内株式は軟調地合いとなる可能性がある。米株も税制改革への不透明感が漂うタイミングで、アジア&欧州株が軟調地合いとなれば調整相場となろう。東京タイムからテクニカル面で注視すべきは、日足一目均衡表で三役逆転が示現するかどうかだろう。27日はかろうじて日足雲の下限を維持した。だが、すでに遅行線がローソク足を下抜け、転換線も基準線を下方ブレイクしている(チャート②参照)。米金利の低空飛行プラス株安が合わされば相場(ローソク足)が雲の下限を下方ブレイクし、一目均衡表で強い売りシグナルである三役逆転が示現する可能性がある。一方、ユーロドルは米金利の低下とドイツの政局リスクの板挟み状態を背景に1.1850-1.1950を中心とした売り買い交錯相場を想定したい。チャート分析の詳細はテクニカルレポートにて。