Analyst's view
独金利の低下が止まらない。上記のとおり、昨日の独10年債利回りは一時0.36%の水準を割り込み、9月12日以来の低水準まで低下した(チャート①参照)。ユーロドルの動向を確認すると、9月25日に大陰線が示現しサポートラインとして意識されていた日足基準線を一気に下方ブレイク。そして先週以降、金融緩和政策の継続報道を受け基準線がレジスタンスラインへ転換している。これらの展開を考えるならば、ユーロ売りの主因はスペイン政治リスクではなく、ECBの金融政策に対する不透明感にあると考えられる。現在のECBは、金融政策の正常化を推し進めたいがそれに伴うユーロ高は避けたい、という板挟み状態となっている。来週の理事会でドラギECBの明確なスタンスが判明するまで、ユーロドルは1.1650レベルを下限に上値の重い展開となる可能性が高まってきた。対ユーロでの米ドル売り圧力の後退は、ドル円の押し上げ要因となろう。だが、連日の株高や良好な指標データが確認されても米長期金利は抑制状態となっている。この状況の主因である低インフレ懸念が関連指標データで払しょくされない限り、米金利の持続的な上昇基調は望めない。よってドル円は「底堅いが上値も重い」という状況が継続しよう。
本日のドル円は、引き続き112円台を中心としたレンジ相場を想定したい。株高維持を背景に上値攻防分岐の21日MAを突破出来るかどうか、この点が焦点となろう。一方、ユーロドルは本日も軟調地合いを想定したい。連日の下落によりユーロを買い戻す動きとなっても反発は限定的となる可能性が高い。両通貨ペアの変動要因は、米住宅関連指標とFED & ECBキーマン達の言動となろう。日本時間17時過ぎのドラギECB総裁の講演内容は特に注目したい。また、討論会におけるダドリー・NY連銀総裁の言動も確認しておきたい。