Market Analysis
金利先物市場での2019年のFF金利予測は10月の段階で2.5323%。来年の利上げ回数は1回のみという予測である。FOMCが市場の予測に沿う内容となるかどうかは、最新の経済予測を確認する必要がある。だが、11月28日のパウエルFRB議長によるハト派のトーンを強めたNY講演と翌日公表されたFOMC議事録(11月7-8日分)の内容を重視するならば、パウエルFRB (FED)は今週のFOMCで“段階的利上げ”というこれまでの一貫したスタンスを変更してくる可能性が高い。スタンスの変更は当然ハト派の印象を市場に与えよう。外為市場では短期的な米ドル売り圧力が高まろう。だが、最大の焦点は米株の反応である。FEDが利上げペースの鈍化または2019年の利上げ打ち止めを示唆するならば、米株にとってはポジティブ要因である。だが、“段階的利上げ”スタンスを変更する理由は、当然経済の先行き不透明感に求められるだろう。米株が後者に反応する場合、長期金利の低下圧力を抑制する要因がなくなる。この場合、ドル円とユーロドルは想定レンジの下限/上限をそれぞれトライする展開を意識したい。詳細は以下を参照。
今週のドル円は、112.00-114.50を中心に売り買いが交錯する展開を想定している。ハト派のFOMCとなれば、米株の動向次第で下値の水準が決定されよう。FOMC後も米株がレンジ相場を維持するならば、米ドル安圧力に直面しながらも112円ミドル以上の水準で押し目買いが入る展開を想定している。逆に米株がレンジの下限を下方ブレイクする場合は、上記のとおり「米株安/金利低下」を背景に想定レンジの下限112.00トライを意識したい。一方、上値は114.50を上限とし、まずは114.00トライを注視する展開となろう。現在は米ドル以上に他の通貨買い需要が高まらない環境である。この点は日本円も同様だが、その一因として武田薬品による巨額買収(アイルランド製薬大手・シャイアーを約7兆円で買収)が影響している可能性がある。また、投機筋の円売りスタンスが根強いことも考えるならば、米株が利上げペース鈍化の方を意識しレンジ相場を堅持する場合、ドル円は上記のレジスタンスポイントの攻防が焦点となろう。
一方、ユーロドルは1.1200-1.1450レンジの攻防を想定している。短期サポートラインを下方ブレイクしたことで、基調はダウントレンドにある。だが、ハト派のFOMCとなれば短期的な調整の反発が想定したい。この場合、11月以降レジスタンスポイントとして意識されている1.1450のトライが焦点となろう。だが、景気減速懸念に直面する欧州経済の動向を考えるならば、ハト派のFOMCがユーロドルの上昇トレンドを形成する可能性は低い。1.1450をブレイクしても1.1500で上値がレジストされる展開を意識したい。一方、下値の焦点は1.12台の維持となろう。重要サポートポイント1.1213の下方ブレイクは、1.1200トライのシグナルと想定したい。詳細は週間テクニカルレポートにて。
【チャート①:ドル円】