Market Analysis
9日の米長期金利(10年債利回り)は、国際貿易摩擦の懸念、イタリアの財政不安そして値ごろ感(低い債券価格)が意識され低下した(米債が買われた)。この動向に対する米株の反応は強弱まちまちながらも、続落基調だったナスダック総合指数は反発。あらためて米株高トレンドの根強さを示唆した。しかし、ダウ平均とS&P500指数で売り買いが交錯する展開となった状況を考えるならば、株高トレンドを維持できる金利の適正水準を探る展開は継続しよう。
本日のドル円は、引き続き株式にらみの展開となろう。特に注視すべきは米株の動向だが、金利の適正水準を探る間は、上下に振れる不安定な展開が想定される。だが、ボラティリティは未だ低い水準で推移しておりリスク回避圧力が急速に高まる可能性は低い。一方、再び下落圧力が高まっている新興国株式のボラティリティを確認すると、警戒水準の23.00前後で上昇が一服している。これらの動向を考慮するならば、株安局面で円買い圧力が高まっても、ドル円の下落幅は限定的となろう。まずは21日MA(112.91前後)の攻防が焦点となろう。すぐ下の水準にはフィボナッチ・プロジェクション50.00%(112.84)が控えている。これらテクニカルを下方ブレイクする場合は、プロジェクション61.80%(122.44)を次のターゲットと想定したい。一方、株式市場がひとまず堅調地合いとなるケースでは、10日MA(113.59前後)のトライが焦点となろう。112.80-70にはビッド、113.40-60にはオファーがそれぞれ観測されている。
ユーロドルは米長期金利にトレンドが左右されよう。値ごろ感から米債買い優勢となれば米独利回り格差の拡大が一服することで、10日MA(1.1535前後)をトライする展開を想定する。一方、原油価格の上昇が続けば、米長期金利は反発の展開が想定される。このケースでは米独利回り格差の拡大を意識した米ドル買いにより、昨日安値1.1429をトライする展開を意識したい。
【チャート①:株式ボラティリティ】