Market Analysis
NAFTA再交渉をめぐる米国/カナダ間の協議は、トランプ米政権サイドが市場開放を求める農産物分野を中心に難航中。カナダ抜きによる二国間(米国/メキシコ)協定へシフトする可能性がくすぶる。また、今週は中国に対する制裁関税第3弾実施が外為市場で意識されよう。対中関税第3弾は、対象品目も規模も第1弾 / 第2弾とは桁違い(=第3弾の対象は第1弾/第2弾の合計500億ドル分の4倍)である。これに対する中国の報復措置は600億ドル規模にとどまり手詰まり感は拭えない。国営の新華社通信は「どちらがより長く持ちこたえるか」とし、中国サイドが貿易摩擦の長期化を覚悟していることを示唆している。対中関税第3弾実施の可能性が意識されて以降、米ドル相場の方向性を示すドルインデックスはフィボナッチプロジェクション161.80%のレベルがサポートポイントとして意識され、8月31日には大陽線が示現。国際貿易摩擦の問題は米ドル買い要因であることを示唆している。今週、対ドルで下落圧力が高まり易い通貨として注視すべきは、米国と政治的に対立し且つ経常赤字国であるトルコリラや南アランドの新興国通貨である。国内の政治リスクに直面しているブラジルレアルも対ドルでの下落を警戒したい。また、中国経済と関係の深い豪ドル、そして国際貿易摩擦問題は原油安要因であることから、原油価格との相関性が高いロシアルーブルも対ドルで軟調地合いとなる可能性があるため要注意。
一方、上記の米ドル高シナリオが崩れるならば、それはトランプ米政権サイドによる米ドル高けん制発言となろう。先週のブルームバーグ・ニュースとのインタビューでトランプ氏は中国とともにEUの為替政策について批判。国際貿易摩擦を背景に対ユーロで再び1.15割れの展開となれば、突発的な米ドル高けん制発言が飛び出す可能性がある。よって、今週のユーロドルはボラティリティの拡大を警戒したい。想定レンジは1.1465-1.1750。一方、ドル円は引き続き株式動向にらみの展開となろう。国際貿易摩擦の問題は米ドル高要因であると同時に株安要因でもある。4日以降、米株が国際貿易摩擦を意識した調整相場となるならば、110.00をトライする展開を想定したい。109円台の攻防へシフトする場合は、8月21日安値109.76の維持が焦点となろう。一方、上値の焦点は112.20の突破となろう。
【チャート①:ドルインデックス】