Analyst's view
9日のドル円は、これまでサポートラインとして意識されてきた21日MAを下方ブレイクした。一方、ユーロドルは10日MAを上方ブレイクした。目先、米ドル安圧力が強まるかどうか、この鍵を握るのが米税制改革(=トランプ減税)にかんする議会の進捗度合にあることはこのレポートで指摘済み。その進捗度合だが、米下院は複数の条項を修正した案を公表した。一方、上院でも修正案を公表したが、最大の焦点である法人減税については2019年に実施するとした。下院の修正案では実施時期が2018年となっている。開始時期の隔たりは、減税による財源の穴埋め問題が今後の重要議題として浮上することを示唆している。この点について議論が停滞すれば、年内成立の期待が後退することで「米金利低下→米ドル安」の展開が想定される。また、米国株式でも金利低下に伴い金融セクターが軟調地合いとなることが予想される。逆にスピード感をもって財源穴埋め議論が進行すれば、米国市場はリスク選好相場(=株高 /金利上昇)となり、米ドル相場をサポートしよう。
本日のドル円は、上述したトランプ減税の不透明感と一時的にせよ21日MAを下方ブレイクしたテクニカル要因を考えるならば、下値トライを警戒したい。目先の焦点は厚いビッドが観測されている113.00の維持となろう。このレベルは、直近高値114.73からの23.60%戻しにあたる(チャート①参照)。112円台の攻防となる場合は、ビッドが観測さている112.70、10月20日大陽線の安値112.56の順でサポートポイントを想定したい。一方、ユーロドルの焦点は21日MAのトライとなろう。このMAの上方ブレイクは、現時点での今年最高値1.2092を起点とした短期レジスタンスラインをトライするシグナルと想定したい。