Market Analysis
16日の米ドル相場は調整局面が散見された。しかし、ドルインデックスの日足の形状を確認すると、長い上ヒゲ付のトウバに近い上影陽線が示現。これは、現在の米ドル相場の地合いの弱さを示唆している。米長期金利が2.5%台の水準を維持し続けているにもかかわらず、対ユーロ&円で米ドル相場の上値が抑制されている主因は、ドイツおよび日本の金利動向にあろう。ドイツの長期金利は同国の政治リスク後退とECBの量的緩和解除に対する思惑を背景に0.60%レベルと、昨年7月中旬以来の水準まで急反発している(チャート①)。米長期金利が2.5%台の水準を維持しても、ドイツの長期金利が上昇し続ければ、米独利回り格差の拡大は抑制されるかむしろ縮小する。結果、外為市場ではユーロドルが上昇基調を維持する状況となっている(チャート②)。この状況はドル円も同様である。国内の長期金利は一時0.089%台と、昨年7月中旬レベルまで急上昇する局面が見られた(チャート①)。結果、日米利回り格差の拡大は抑制され、且つ対ユーロでの米ドル安継続も重なり、ドル円は節目の110.00を視野に下落幅が拡大中(チャート②)。
米ドル安の加速要因として本日注視すべきは、カナダ中銀(BoC)イベントだろう。直近のインフレ指標と雇用関連指標がともに市場予想を上回ったことから、OISから算出される利上げ確率は90%を越えている。1.25%への利上げは市場でも意識されており、真に注視すべきは追加利上げに対するBoCのスタンスにあろう。この点についてタカ派スタンスを示すならば、米ドルはカナダドルに対しても売り優勢の展開となろう。米ドル安は国際商品市況のサポート要因となることから、他の資源国もしくは新興国の通貨に対しても米ドル安圧力を強め、ユーロドルのサポート要因となり得る。ユーロドルが堅調地合いを維持すれば、ドル円の上値を抑制する可能性が高い。対照的にクロス円は上値トライを想定したい。