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警戒すべきは米ドル高リスクの高まり

Market Summary
15日の海外外為市場は円買い優勢の展開となった。米国とトルコの政治摩擦と中国経済に対する不透明感を背景にこの日の欧米株式は軒並み下落。米長期金利も低下したことでドル円は欧州タイムから下落圧力が高まり、111.30台から安値110.40まで下落する局面が見られた。一方、ユーロドルは売り買いが交錯する展開となった。欧州タイムは米ドル高優勢で推移し、安値1.1297まで下落。しかし、その後は調整の米ドル売り圧力が高まり1.13ミドルまで反発した。
米株は主要3指数が下落した。米国とトルコの政治的な摩擦や新興国リスクが意識された他、原油安も相場の重しとなった。ダウ平均は一時300ドル超の下落局面があった他、ナスダック総合株価指数も前日比で1%超下落し7774.118で終了した。NY原油先物9月限は中国経済に対する不透明感と米原油在庫の増加が嫌気され、前日比2.03ドル安の1バレル=65.01ドルと3日続落。一時64.51ドルと、約2ヵ月ぶりの安値水準まで下落する局面が見られた。一方、NY金先物12 月限はユーロドルが一時1.13割れの局面が見られる等、米ドル高トレンドが継続との思惑を背景に前日比15.7ドル安の1トロイオンス=1185.0ドルと急反落した。

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Market Analysis
15日のトルコリラは対ドルで5.66%上昇した。しかし、トルコリラ以外の主要な新興国通貨は対米ドルで軒並み売られ、インドを除く主要な新興国株式も総じて下落した。一方、主要な先進国通貨の動向を確認すると、円やスイスフラン以外では米ドル高優勢で推移した。これらの市場動向は、トルコリスクとは、つまることろ米ドル高リスクであることを示唆している。米国との政治摩擦が続けば、トルコは中国、ロシアそしてその他反米志向の国々(イラン等)に接近するだろう。そして、それが米国とのさらなる摩擦を引き起こすという悪循環の要因となろう。また、EUとの軋轢も懸念材料だが、それが鮮明となるならば難民問題に直面する欧州政治、特にドイツ政治の停滞リスクを高めよう。トルコを中心とした国際政治摩擦が激化する場合、トルコリラだけでなくユーロ相場にも売り圧力が高まり、その受け皿として米ドルが選好されよう。米ドル高のさらなる進行は政情不安、経済赤字国そして高インフレに直面する新興国通貨の売り圧力を高めよう。ユーロ売り、新興国通貨売りを背景に米ドル高がさらに進行し続ければ、新興国の資本流出懸念が意識されよう。このような状況まで至れば、高値圏の攻防を維持している米株にもさすがに売り圧力が高まろう。

現在のドル円のトレンドを見極める上で、米株の動向は重要なファクターである。本日も新興国通貨が対ドルで続落する場合、米株の調整相場を警戒したい。このケースでのドル円は110円台の維持が焦点となろう。世界的な株高の調整局面となれば109円台の攻防を想定したい。このケースでは、6月のサポートポイント109.35および109.20までの下落を警戒したい。一方、上値の焦点は21日MA(111.24レベル)を完全に突破出来るかどうか、この点が焦点となろう。110.00、109.50および109.30にはビッドが観測されている。111.50にはオファーの観測あり。一方、ユーロドルはフィボナッチ・プロジェクション61.80%の水準にあたる1.1290の維持が焦点となろう。同水準にはビッドが観測されている。1.1290の下方ブレイクは1.1200トライのシグナルの一つとして警戒したい。1.1200にもビッドの観測あり。一方、ショートカバの展開では1.1430レベルまでの反発を想定したい。

【チャート①:新興国通貨の動向(15日)】

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【チャート②:ユーロドル】

EURUSD ユーロドル

【チャート③:ドル円】

ドル円 USDJPY

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