Analyst's view
昨日、米ドル相場との相関性が高い10年債利回りは2.016%から2.201%まで反発する局面が見られた。米金利の急反発は日米金利と米独金利の格差を拡大させ、外為市場での米ドル買い圧力を強めた(チャート①参照)。だが、現在の米債券市場は単なる調整(=米債ロングの解消)相場であり、ファンダメンタルズをベースとした反発ではない。よって、米金利反発の持続性は米指標データ次第となろう。
本日は8月の米CPIが米金利の動向を左右する可能性が高い。特に注目すべきはコア指数だが、市場予想は前月比で0.2% /前年同月比で1.6%となっている。市場予想以下の内容ならば、米利上げペースに対する不透明感が強まることで米金利には再び低下圧力が強まろう。米金利の低下は米ドル相場の圧迫要因となり、ドル円は重要レジスタンスポイント111.00の突破に失敗する展開が想定される。一方、ユーロドルは1.18台を維持し、再び1.20台を目指す可能性が高いだろう。
米CPI以外で注視すべきは、英中銀(BoE)イベントだろう。現行の金融政策は維持されるだろう。だが、直近のインフレ率(=コアCPI)は前年同月比で2.7%と、BoEがターゲットとしている2.0%を大きく上振れている。現在は米ドル安がサポート要因となり反発基調にあるポンド相場が再び下落するならば、さらなるインフレ率の高まりが懸念される。一方、労働市場では直近の失業率(ILO基準)が4.3%と、1975年以来の低水準まで低下している。これらの状況を鑑み、BoEが金融引き締めに積極的な姿勢を示すならば、ポンド相場は急伸する可能性が高い。対ドルでは1.3500の突破が焦点となろう。対円では148円台への上昇となるか、この点が注目される。