Market Analysis
22日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、良好なファンダメンタルズをベースとした早期利上げの議論と同時に、景気の下振れリスクについても話し合われていたことが判明。国際貿易摩擦(trade tensions)について、現在のところ金融政策の見通しに影響を及ぼすことはないが、不確実性の要素としてFED内で認識されていることがわかった。しかし、景気を後退させるリスク要因として警戒度合が高まっている表現ではなかった。議事録公表後は米ドル売りで反応したが、一過性の現象で収束した。
本日の外為市場も米国発の材料にトレンドが左右されよう。注視すべきは二点。一点目は米中貿易協議の内容である。こちらは閣僚級から事務レベルへ格下げしての仕切り直し感は否めず、トランプ政権サイドを納得させるだけの合意がなされる可能性は低い。よって、現在の米ドル高調整相場を転換させるインパクトはないだろう。ユーロドルはポジション調整を挟みながら、6月14日高値1.1851を起点とした短期サポートラインを視野にした上昇基調を維持しよう。もうひとつの材料として注視すべきは、ロシアゲートに関する新たな報道である。トランプ米大統領の顧問弁護士を務めてきたコーエン被告が司法取引に応じるなど、トランプ包囲網は徐々に狭まっている。トランプ米政権にとってさらに不利な報道が続けば米ドル高調整要因として利用され、ユーロドルは上記の短期レジスタンスラインを視野に入れる展開が続こう。下値の焦点は、昨日相場をサポートした21日MA(1.1540前後)の維持となろう。1.1650にはオファー、1.1500にはビッドがそれぞれ観測されている。一方、ドル円は米株高の調整による反落を警戒したい。上記二つの米国イベントはいずれも株高調整要因であり、米ドル高に加え株高の調整圧力まで高まれば、再び110.00トライの展開が想定される。だが、米株のボラティリティは依然として低水準での推移が続いている。リスク選好相場が崩れているわけではないので、下値トライとなっても下落幅は限定的だろう。本日は21日安値109.76の維持が焦点となろう。110.60から110.80にかけてはオファー、109.60から109.50にかけてはビッドがそれぞれ観測されている。
【チャート①:ユーロドル】