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米ドル買い優勢も上昇幅は長期金利次第

Summary

米国の大規模減税案が年内中に可決される可能性が高まってきた。この点は、米国市場(=株式市場/債券市場)のリスク選好要因となろう。また、ユーロ相場の軟調地合いも米ドル相場のサポート要因となろう。だが、12月FOCM後の米長期金利の低空飛行状態に変化は見られない。税制改革期待を背景に再び2.4%台の水準を回復しても、低インフレ懸念が引き続き金利の上昇圧力の阻害要因となろう(チャート①参照)。よって、今週の外為市場は米ドル買い優勢の展開が想定されるも、上昇幅は米長期金利の動向次第で決定されよう。

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Analyst's view

米与党共和党の指導部は15日、約30年ぶりとなる大型減税法案を最終決定したと発表した。減税規模は10年で1.5兆ドル、開始時期は2018年で決着した。連邦法人税率は現行の35%から21%に引き下げ、個人所得税も現在の最高税率である39.6%を37%に引き下げる。下院は今週19日、上院は20日にそれぞれ可決する方向で調整に入っており、年内成立の可能性が土壇場で再浮上してきた。税制改革が年内成立となれば、米株と米長期金利の押し上げ要因となろう。米ドル相場にとってより重要なのは後者の米長期金利の動向だが、2.4%台の水準を再び回復すれば、外為市場では米ドル買い圧力が強まろう。ドル円は、日米利回り格差の拡大と株高という2つの上昇要因にサポートされる展開が想定される。一方、ユーロドルは先週、ドラギECBが将来の経済成長とインフレ見通しを上方修正したにもかかわらず、1.1860レベル(=リトレースメント61.80%戻し)で上値が見事にレジストされ反落中。米欧金融緩和のコントラストに加え、直近はドイツの政治リスクがユーロ相場の重石となっている。後者のリスクは年明けまで良好な域内ファンダメンタルズをベースとしたユーロ買い圧力の相殺要因となる可能性がある。それを意識してか、オプション市場のリスクリバーサル(1か月~3か月)もユーロ相場の軟調地合いを示唆している。ユーロの上値が圧迫され易い状況にある点も米ドル相場のサポート要因となろう。

ドル円のチャートポイントだが、今週はトライアングルの攻防が焦点となろう。上述した状況を考えるならば、現時点での今年最安値107.31を起点とした短期サポートラインを維持する公算が強い。一方、上値の攻防分岐は直近高値114.73を起点とした短期レジスタンスラインとなろう。転換線と10日MAの上方ブレイクは、このラインをトライするシグナルとなろう。米長期金利が2.4%台の水準を回復後も反発基調を維持するならば、トライアングルの上限を突破し、114円を目指す展開を想定したい(チャート②参照)。尚、112.00にはビッド、113.00前後にはオファーが観測されている。

一方、ユーロドルもトライアングルの攻防が焦点となるだろうが、短期サポートラインの下方ブレイクをより意識する展開となろう。このラインを下方ブレイクする場合は、日足雲の下限の維持が次の焦点として浮上しよう(チャート③参照)。1.1700-1.1710のゾーンはビッドとストップが混在している。


【チャート①:米10年債利回り】

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【チャート②:ドル円】

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【チャート③:ユーロドル】

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