Market Analysis
12日の米株は総じて下落。ボラティリティ(VIX)も警戒水準の20ポイント台まで再上昇した。米株高が耐え得る金利の適正水準は徐々に切り上がっている。だが、3.2%台がその水準として完全に織り込まれたと判断するのはまだ早いことを直近の続落が示唆している。10月から続く株安局面で興味深いのは、ドル円の下落幅が限定的である事実だ。通常ならば株安に連動しドル円は下値トライとなってもおかしくなかった。しかし、昨日は113.65でサポートされ下落幅は限定的だった。この主因は米ドル高にある。昨日のドルインデックスは97.693と、2017年6月21日以来の水準まで急騰する局面が見られた。米国経済が好調さを維持するのとは対照的に、欧州ではイタリアの財政リスクと英国のEU離脱交渉に対する不透明感がなおもくすぶり続け、新興国市場はFEDの利上げ政策による負の影響に直面している。現在の政治、経済および金融政策の環境下では外為市場で米ドル高圧力が高まり易く、しかもその圧力は株安を背景とした円高圧力を相殺する程強い。よって、これまでのように「株安=ドル円下落」という構図を現在の相場に当てはめることはできない。
本日のドル円は上値の重い展開を想定したい。だが、上述したとおり株安による円高圧力が高まっても、米ドル高圧力がその相殺要因となろう。目先の下値の焦点は113.40の維持となろう。このレベルを挟んではビッドが断続的に並んでいる。一方、上値の焦点は昨日高値114.20の再トライとなろう。ユーロドルはイタリアの財政リスクに対する思惑次第でトレンドが決定されよう。本日は、同国の2019年度修正予算案の提出期限日である。修正案が欧州委員会の理解を得られない場合、ユーロ売り圧力がさらに高まることでリトレースメント61.80%の水準1.1185をトライする展開を想定したい。一方、イタリアリスクが後退する場合は、1.1300がサポートからレジスタンスへ転換するかどうか、この点を確認することが重要となろう。
【チャート①:ドルインデックス】