Analyst's view
米国の7月コアPCEは前年同月比で1.4%上昇と、2015年12月以来の小幅な伸びとなった。FEDが最も注視しているインフレ指標でインフレの鈍化がトレンド化していることが改めて確認された(下図チャート参照)。低インフレに対する懸念が完全に払しょくされない限り、FEDが利上げペースを加速させることは困難である。それは、米金利が反発基調へ転じることが困難であることを意味する。米金利の低空飛行が常態化すれば、外為市場では米ドルを積極的に買うムードが高まらないであろう。
だが、米国のインフレ鈍化は、利上げペースが緩やかになるとの期待を株式市場で想起させる。事実、昨日の米株はこの点が意識され、主要3市場はそろって上昇した。他の主要な株式市場も堅調さを維持している。この状況(=米金利低下 / 世界的な株高)が続く限り、ドル円は108円台を下限に売り買いが交錯する展開が想定される。一方、米独の金利差に敏感なユーロドルは1.20を意識した攻防が継続しよう。米金利の低空飛行はユーロドルのサポート要因である。しかし8月下旬以降、ECBサイドの通貨高けん制スタンスが強まっていること、そしてユーロ圏の8月消費者物価コア指数が、前年同月比で1.2%の上昇にとどまったことは、金融緩和政策の変更に対する期待を後退させる要因となり得る。少なくとも9月7日のECB理事会前までは、1.20を上限に売り買いが交錯する展開が想定される。
尚、本日の焦点は米国の8月雇用統計となろう。注視すべきは賃金動向だが、コアPCEに続き伸びが抑制されていることが確認されれば、雇用増となっても「米金利低下→米ドル安」を警戒したい。だが、米株は堅調さを維持する可能性が高い。よって、米ドル安圧力が強まっても、ドル円が一気に108円台を目指す可能性は低いだろう。チャートポイントの詳細はテクニカルレポートにて。