Market Analysis
カナダは7月1日、166億ドル規模の対米報復関税を発動した。そして今週6日には米国による対中制裁関税の発動が控えている。実際に発動となれば中国サイドの報復は必至である。また、トランプ米大統領は先月26日、EU車への報復関税について「調査が終了しつつある(We are finishing our study of Tariffs on cars from the E.U)」、「最終的にすべてが対等になる(In the end it will all even out )」とツイートしEUをけん制。世界的な報復関税合戦の様相を呈している状況を考えるならば、先週以上に今週は国際貿易摩擦の動向に各市場はセンシティブにならざるを得ない。
米欧 / 米中の貿易摩擦に対する懸念が高まれば世界の株式市場の重石となり、外為市場では円高圧力が高まろう。株式市場で最も注視すべきは米株の動向となろう。ボラティリティ動向から判断するに6月中旬以降の下落は調整の域を出ていない。だが、6日の対中制裁関税がハイテク製品をターゲットにしている点を考えるならば、今週はハイテクセクターが米株の重石となる可能性がある。米株の上値が重くなれば長期金利の上昇圧力は再び後退しよう。その影響が波及することで、ドル円は下値トライの展開となろう。だが、米株がリスク回避相場へ転換しない限り、109円台で反発する展開が継続しよう。逆に貿易摩擦懸念を背景に米株がリスク回避相場へ転じれば、108円台まで急落する可能性がある。米株のリスクセンチメントを見極めうる上で、今週もボラティリティの動向を注視したい。
米ドル相場のサポート要因として注視すべきは、6月雇用統計をはじめとした重要指標データとなろう。5月PCEは前年同月比で2.0%とFEDの見立て通りターゲットの2.0%前後まで上昇してきた。今週の指標データでも総じて市場予想を上回るならば米国市場はリスク選好で反応し、貿易摩擦を背景とした米ドル売り圧力を相殺しよう。また、FOMC議事要旨も米長期金利と米ドル相場をサポートする可能性がある。これら米国イベントで米ドル高圧力が高まれば、ドル円は111円台の攻防シフトを想定したい。一方、ユーロドルは重要サポートポイント1.1500割れを警戒したい。その場合は、フィボナッチ・プロジェクション50.00%の水準にあたる1.1400レベルを視野に下落幅が拡大しよう。一方、米指標データが総じて冴えない内容となれば、欧州の政治リスク後退後の反発基調を維持しよう。だが、米欧間の貿易摩擦、ファンダメンタルズ格差そして金融政策の方向性の違いを考えるならば、フィボナッチ・リトレースメント38.20%の水準1.18ミドルまでの戻りが限界と想定。チャート分析については、別途テクニカルレポートを参照されたし。
【チャート①:米株のボラティリティ】