Market Analysis
米株のボラティリティ(VIX指数)は警戒水準の20ポイント前後で右往左往しているが、投資家のリスクセンチメントは徐々に改善傾向にある。ボラティリティが再び低水準で安定的に推移する要因として、企業決算の内容を注視する状況が続こう。今週はアマゾン、アルファベット、マイクロソフトそしてインテルといったハイテク企業の決算が発表される。決算内容が市場予想を上回り、且つ先行きの見通しも強気スタンスを維持する場合、金利上昇リスクを跳ね除け、米株は徐々にリスク選好相場へと回帰しよう。金利の上昇圧力を高める要因として今週注視すべきは、原油価格の動向となろう。米国/イラン間の緊張に加え、サウジアラビア問題も浮上しており、現在は供給懸念が意識されやすい。これら国際政治リスクを背景に原油価格が急上昇する展開となれば、昨夏以降原油価格との相関性が高まっている米長期金利にも上昇圧力が高まろう。注視すべきは、米長期金利が直近の高水準3.261%を突破するケースである。米株急落のトリガーとなったこの水準を突破して尚、今度は米株が上昇トレンド維持する場合、金利の上昇はひとまずリスク回避要因から外れよう。逆に米株が下落する場合、現時点で米株高トレンドが耐え得る金利の適正水準は3.20%以下ということになろう。
今週のドル円は米国市場が徐々にリスク選好相場へ回帰することで、底堅い展開を想定している。下値の攻防分岐は104.55を起点とした短期サポートライン(今日現在111.85前後)となろう。米株が大きく崩れない限り、このラインを維持する展開を想定する。一方、上値の焦点は113.00手前で推移している21日MAとなろう。このMA突破は113.50トライのシグナルと想定したい。
ユーロドルは売り買い交錯を想定。だが、米独利回り格差の拡大傾向を考えるならば、米ドル高優勢の局面が散見されよう。下値トライの局面で注視すべき攻防分岐は1.1430レベルとなろう。今月9日および19日に相場をサポートし、このレベルの底堅さをあらためて市場に印象付けている。この水準を下方ブレイクする場合は、1.1400トライのシグナルと想定したい。一方、BREXITリスクの後退やイタリア財政リスクについて新たなネガティブ要因が出ない場合、単発のユーロのショートカバーを想定したい。このケースで注視すべき上値のポイントは、10日MA(今日現在1.1529前後)および21日MA(今日現在1.1567)となろう。
【チャート①:ドル円】