Market Analysis
米国による対中関税の強化は90日間の期限付きで見送られた。ひとまず米中貿易摩擦の激化を回避したことで、今後市場の焦点は米金融政策へシフトしよう。この点を見極める上で今週最も注視すべきイベントは、FEDスピーカーの言動となろう。特に注視すべきは、5日のパウエルFRB議長による議会証言となろう。同氏は10月3日の講演で金利の水準について「中立金利の水準にはまだ遠い」と発言。しかし、先月28日のNY講演では「金利は米国経済にとって中立的な水準についての予測レンジをわずかに下回る」と述べ、突如ハト派トーンを強めてきた。今週の議会証言で金融政策に言及する場合、先月の講演内容を踏襲する内容となれば、市場は2019年の利上げペース鈍化の可能性を意識しよう。この場合、米長期金利には低下圧力が高まろう。外為市場では日米/米独利回り格差の縮小傾向が意識され、米ドル売り圧力が高まろう。だが、利上げペース鈍化の観測とそれに伴う長期金利の低下は米株高要因である。米中貿易摩擦懸念の一時的な後退と米利上げペース鈍化の期待が米株の株高トレンド回帰を促す場合、長期金利の低下圧力の相殺要因となる。このケースでは、米ドル買いを想定したい。米株のトレンドだが、今週はFEDスピーカーの言動の他、重要指標データにも左右されよう。特に7日の11月雇用統計は市場の関心を集めよう。
ドル円は113円台を中心に上下に振れる展開を想定。日米利回り格差が縮小しても米株の底打ち感が高まっている現状を考えるならば、112円後半では押し目買いにサポートされよう。113.00から112.80にはビッドが観測されている。一方、上値の焦点は114.54の突破だが、米国市場がリスク選好相場(=株高/長期金利の反発)となる局面でその可能性が高まろう。114.30-114.50にはオファーが断続的に観測されている。
一方、ユーロドルは1.1250-1.1450の攻防を想定。トレンド決定要因は米独利回り格差の動向となろう。1.1300および1.1250にはビッドが観測されている。一方、1.1450にはオファーの観測あり。
【チャート①:米長期金利/S&P500】