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市場のムードを変えた米雇用統計、次の焦点はFOMCとCPI、ドル指数の展望

5月の雇用統計は米債市場と米ドル相場のムードを一変させた。今週は連邦公開市場委員会(FOMC)と5月の消費者物価指数(CPI)が米金利と米ドル相場の変動要因となろう。内容次第では再び米ドル高を意識することになろう。ドル指数(DXY)の展望は?注目のチャート水準は?

※日銀金融政策決定会合の注目ポイントとドル円の週間展望はこちらのレポートを参照


ポイント

・5月の雇用統計は、米債市場と米ドル相場のムードを一変させた
・FOMCと5月CPI次第では、再び米ドル高を意識する展開となろう
・FOMCの焦点は政策金利の見通しにある、しかしより重要なのはCPI
・ドル指数、今週の展望と注目のチャートポイントについて


賃金インフレの根強さを示唆した5月の米雇用統計

米労働省は7日、5月の雇用統計を発表した。非農業部門雇用者数は27.2万人と、市場予想の18.0万人を大きく上回り、労働市場の堅調さを示唆した。

注目すべきは賃金の動向である。5月の平均時給は前月比で0.4%増、前年同月比で4.1%増と、いずれも市場予想の0.3%増、3.9%増を上回り、賃金インフレの根強さが確認された。

インフレの再燃に対する米連邦準備制度理事会(FRB)の警戒レベルは高い。賃金インフレは物価の鈍化を阻む要因となる。ゆえに今回の雇用統計は、利下げの開始に対するFRBの慎重な姿勢を促す要因となろう。

事実、短期金融市場では9月の利下げ確率が40%台へ急低下している。今年想定される利下げの回数も1回と、年初の6回から大幅に修正されている。

米国の雇用統計 各項目の動向:23年5月以降

米国の雇用統計 各項目の動向:23年5月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:5月の結果

米雇用統計が変えた米債市場のムード

5月30日に1-3月期のコアPCE(改定値)が発表された。速報値の3.7%から3.6%に下方修正された。そして同月の31日に発表された4月の個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は総じて市場予想と一致し、インフレの抑制傾向が確認された。

6月に入り発表された重要指標でも市場予想を下回る内容が続いたことで、米金利は低下のトレンドへ転じていた。

しかし、5月の雇用統計が労働市場の堅調さ(雇用増と賃金インフレの根強さ)を示したことで、米債市場のムードが変わりつつある(下のチャートを参照)。

米金利のチャート:30分足 5月30日~6月7日

米金利のチャート:30分足 5月30日~6月7日 TradingView提供のチャートで作成

政策金利の見通しがFOMCの焦点に

今週11日~12日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。今回の会合でも現状の政策を維持する公算が大きい。

焦点は、最新の政策金利の見通し(ドットチャート)となろう。現時点でFOMCメンバーが想定する今年の利下げ回数は3回(中央値)である。しかし、短期金融市場が想定する回数は1回まで減少している。

パウエルFRB議長をはじめFRB高官らのインフレ再燃に対する警戒レベルは高い。そして、早期の利下げについて慎重な姿勢を貫いていることも考えるならば、最新の見通しでは想定される利下げの回数が下方修正されることが予想される。

問題はその回数だが、市場では1~2回へ修正される見方がある。可能性は低いが「ゼロ」を予想する向きもある。

いずれにせよ、最新の見通しが”タカ派”の内容となれば、米債市場では利回りが上昇で反応することが予想される。外為市場では米ドル高優勢の展開となろう。

なお、これまでの言動や5月雇用統計の内容を考えるならば、パウエルFRB議長は定例会見で早期の利下げについて慎重な姿勢を示すと思われる。

米連邦準備制度理事会(FRB)政策金利の予想推移

米連邦準備制度理事会(FRB)政策金利の予想推移 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

FOMCよりも消費者物価指数(CPI)

しかし、今週最も重要なイベントはFOMCよりも先に発表される5月の消費者物価指数(以下CPI)となろう。パウエルFRBの政策はデータに依存するからだ。なかでもインフレデータは、今後の政策を大きく左右する要因である。

現時点での5月CPIの市場予想を確認すると、インフレが抑制される見通しとなっている。注目のコア指数は前月比で+0.3%と、4月から横ばいの見込みである。一方、前年同月比は前月の+3.6%から+3.5%へ鈍化する見通しとなっている。

焦点はサービス価格の動向となろう。エネルギーを除く4月のサービス価格は前年同月比で+5.3%と、前月の+5.4%からわずかながら鈍化した。一方、住居費を除くサービス価格は同比+4.9%と、3月の+4.8%からわずかながら上昇した(前月比では3月の+0.65%から+0.42%へ低下した)。米国のインフレはまだら模様の状況にある。

5月の米雇用統計は労働市場の堅調さを示唆した。5月CPIでインフレの粘着性までが確認される場合、パウエルFRBは政策金利を現在の高水準でより長く維持する姿勢を維持せざるを得ないだろう。9月の利下げ期待はさらに後退しよう。米債市場では利回りの上昇幅が拡大し、外為市場では再び米ドル高優勢の展開が予想される。

一方、5月CPIがインフレの抑制傾向を示唆する場合は、「米金利の低下→米ドル安」の展開を予想する。しかしその持続性は、FOMC(声明文、政策金利の見通し、パウエルFRB議長の会見内容)次第となろう。

“タカ派のFOMC”となれば、5月CPIが市場予想を下回っても、米金利の低下と米ドル安は限定的となることが予想される。

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年5月以降

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年5月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:5月の市場予想

ドル指数、再び米ドル高のムードに

5月の米雇用統計は、米債市場だけでなく米ドル相場のムードも変えている。

米ドル相場の大まかなトレンドを示すドル指数(DXY、ドルインデックス)は7日、大陽線で21日線を突破した。この動きを受け、104.00レベルが新たなサポート水準として鮮明となった。

日足のMACDはゴールデンクロスを形成するムードにある(下のチャート、緑矢印を参照)。上で述べたFOMCと5月CPIが米金利の上昇要因となれば、ドル指数は50日線およびレジスタンスの水準として意識されている105.15レベルより上の攻防へシフトすることが予想される。

日足のストキャスティクスは買われ過ぎの水準付近まで上昇している。しかし、デッドクロスを形成するムードにはない。ドル指数が105ポイント台の攻防へシフトする場合、最大の焦点は5月9日の高値105.74レベルの攻防となろう。

ドル指数がこの水準(105.74レベル)をも突破する場合は、4月16日に付けた高値水準106.51レベルを視野に上昇幅の拡大を想定したい。

ドル指数のチャート:日足 23年12月以降

ドル指数のチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

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