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【週間展望】後退する米利下げ期待、反発ムードにある米金利、焦点はPCEデフレーター

5月の外為市場は米ドル安優勢の状況にある。しかし、インフレの再燃に対する米連邦準備制度理事会(FRB)の警戒レベルは高い。利下げ期待は後退の一途にある。この状況で強い経済指標が続く場合は、再び「米金利の上昇→米ドル高」となる可能性があろう。今週31日に4月の個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。米金利と米ドル相場の反応を注視したい。


サマリー

・5月の外為市場は、米金利の上昇が抑制されていることで米ドル安優勢の状況にある
・しかし、今のトレンドが続くかどうかは今後の経済指標次第となろう
・PCEデフレーターでインフレの粘着性が確認される場合は、米ドル高の要因となろう
・今週のドルインデックスは、21日線の攻防に注目したい


外為市場の動向:5月は米ドル安優勢の展開に

月初来の米ドル相場の動向を確認すると、対主要通貨で米ドル安優勢の状況にあることが分かる。

米ドル相場の動向:月初来

米ドル相場の動向:月初来 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 5月24日までの動向


米ドル安の要因は、5月以降、米金利の上昇が抑制されていることにある。

この点を下の4時間足チャートで確認すると、米ドル相場の大まかなトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、米金利(10年債利回り)の動きに連動し、じりじりと下値をトライする状況にある。

ドルインデックスと米国10年債利回りのチャート:4時間足 今年4月以降

ドルインデックスと米国10年債利回りのチャート:4時間足 今年4月以降 TradingView提供のチャートで作成

米国2年債利回りが示す利下げ期待の後退

米金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りの動向を確認すると、5月中旬以降、反発のムードにある。先週は、予想を上回った5月の購買担当者景気指数(PMI)速報値を受け、5月2日以来となる4.95%へ到達する局面が見られた(下のチャート、赤ゾーンを参照)。

米2年債利回りが節目の5.0%を視野に再び反発している今の状況は、市場参加者の利下げ期待が後退している状況を示唆している。

米国 2年債利回りのチャート:4時間足 今年3月以降

米国 2年債利回りのチャート:4時間足 今年3月以降 出所:CMEのFedWatch ツール / 5月27日7時時点の動向


事実、短期金融市場では9月利下げの確率が再び50%を割り込む状況にある。CMEのFedWatch ツールでは、9月利下げの確率が45%付近まで低下している(下の赤棒グラフを参照)。

米国 9月FOMCの利下げ確率

米国 9月FOMCの利下げ確率 出所:CMEのFedWatch ツール / 5月27日7時時点の動向

今週の注目材料:米国のPCEデフレーター

4月の消費者物価指数(CPI)はインフレが抑制の傾向にあることが確認された。前月比のスーパーコア指数も0.42%上昇と、3月の0.65%から伸びが鈍化した。

それでも、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官からは、利下げについての慎重な発言が相次いだ。また、先週の22日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC、4月30日~5月1日開催)の議事要旨でも、インフレ再燃に対する警戒レベルの高さが示された。

利下げについてパウエルFRBが慎重な姿勢を維持するなか、今週は4月の個人消費支出(PCE)価格指数(以下ではPCEデフレーター)が発表される。

利下げ期待が後退している今の状況で、パウエルFRBが最も注視する物価指数がインフレ圧力の根強さを示唆する場合、米2年債利回りは節目の5%に向かって反発基調を維持することが予想される。10年債利回りももう一段反発する展開が予想される。

米国 個人消費支出(PCE)価格指数の動向:23年以降

米国 個人消費支出(PCE)価格指数の動向:23年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


また、PCEデフレーター以外では、28日の5月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)と30日の新規失業保険申請件数も米金利の変動要因となる可能性があろう。

今週の米経済指標が消費者心理の改善や雇用とインフレ圧力の根強さを示唆する場合は、さらなる米金利の反発が予想される。

外為市場では米ドル安のトレンドが後退し、買戻し(米ドルのショートカバー)の1週間となる展開が予想される。


分岐点のドルインデックス、焦点は21日線の攻防

米ドル相場の大まかなトレンドを示すドルインデックス(DXY)は短期サポートラインを形成し、反発の基調にある。

しかし、先週は21日線(24日時点105.14レベル)で上昇が止められた。テクニカルの面でドルインデックスは現在、トレンドの分岐点に差し掛かっている。

日足のRSIとストキャスティクスに相場の過熱感は見られない。ゆえに、上で取り上げた今週の経済指標が米金利の上昇要因となれば、ドルインデックスは21日線を完全に上方ブレイクする展開が予想される。このケースでは105ポイント台への上昇と、5月9日の高値105.74ポイントのトライが焦点となろう。

ドルインデックス(米ドル相場)が21日線を完全に突破する場合、ドル円(USD/JPY)もこの動きに追随し、158円を視野に上昇幅の拡大が予想される。

※ドル円の週間展望については、こちらのIG為替レポートをご覧ください。

ドルインデックスのチャート:日足 23年12月以降

ドルインデックスのチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

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