様子見の投機筋、米国のCPIと小売売上高で動く可能性あり、NY金の見通し
スポットのNY金価格(XAU)は、先月17日の高値2,483レベルがレジスタンスとして意識されている。買いを手控え次の材料を待つ投機筋は、今晩の7月米消費者物価指数(CPI)と明日の同月小売売上高で動く可能性がある。スポット金価格の見通しは?注目のチャート水準は?
記事のポイント
・スポット金価格は底堅さを維持するも、7月の高値が意識されている
・投機筋はゴールド買いを手控え、様子見のムードにある
・米国のCPIと小売売上高で投機筋が動く可能性あり
・スポット金価格、目先の見通しと注目のチャート水準について
スポット金価格、注目のチャート水準
上値の水準(レジスタンス)
・2,503:エクステンション76.4%戻し
・2,483:7/17日高値
・2,477:8/2日の高値
下値の水準(サポート)
・2,450:5月20日の高値、リトレースメント23.6%戻し
・2,433:10日線、リトレースメント38.2%戻し
・2,415:サポート転換の可能性
様子見ムードの投機筋
8月に入りNY金先物価格は、2,500ドル台へ上昇する局面が見られている。しかし2,500ドル台へしっかりと上昇し、さらに上値を目指すムードに欠ける。
一方、スポットの金価格(XAU)は、7月高値の2,483レベルが強固なレジスタンスの水準として意識されている。
その理由の一つが、投機筋の動きにあると考えられる。米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、投機筋は7月に金の買いを仕掛けてきた。しかし、意外にも7月中旬以降の株安局面では、金のロングポジションを調整してきた。このため、ネットロングも減少傾向にある。
また、投機筋のショートの仕掛けも限定的である(下のチャート、赤ラインを参照)。ロングポジションの調整と合わせて考えるならば、投機筋は現在、新たなに仕掛ける材料が出るまで様子見を決め込む状況にある。
投機筋の動向
米経済指標が新たな材料に?
7月の消費者物価指数(CPI)
投機筋が次に仕掛ける材料として注目したいのが、今晩の7月米消費者物価指数(CPI)と明日の同月小売売上高である。
13日の7月生産者物価指数(PPI)では、インフレが鈍化の傾向にあることが確認された。7月CPIでも同じ状況が確認される場合は、アメリカ長期金利の低下と米ドル安の要因となろう。このケースでは、金価格が上昇する展開を予想する。
一方、強いCPIは金価格の下落要因となろう。しかし、9月以降の米連邦公開市場委員会(FOMC)でパウエルFRBが連続利下げに踏み切る可能性が高まっている。ゆえに強いCPIで金価格が下落しても、その幅は限定的となることが予想される。
米国 消費者物価指数(CPI):23年7月以降
7月の小売売上高
現在は、アメリカ経済の先行きリスクが意識され始めている。アメリカ経済の土台は個人消費である。ゆえに、7月の小売売上高が市場の予想を下回れば景気懸念が意識されることで、米金利の低下と米ドル売りが予想される。これら市場の動きは、金価格の上昇要因となろう。
一方、小売売上高が市場予想を上回り個人消費の堅調さを示す内容となれば、強いCPIと同じく米金利の反発と米ドルの買戻しが予想される。このケースでは、金価格の下落を想定しておきたい。
米国 小売売上高:23年7月以降
スポット金価格の見通し
2,500ドル台への上昇が焦点に
スポットのNY金価格(XAU、以下では金価格)は、先月17日の高値2,483レベルを視野に入れる展開となっている。テクニカルの面では、10日線がサポートラインとなり、日足のモメンタムとMACDは金価格の地合いの強さを示唆している。
上で述べたとおり、短期金融市場では現在、パウエルFRBが9月のFOMCで利下げ政策へ転換した後、11月と12月の会合でも連続利下げに踏み切る可能性が意識されている。
現在のテクニカルの攻防とFRBが緩和サイクルへ向かう可能性を考えるならば、焦点は7月高値2,483の突破にある。8月2日の高値2,477レベルの上方ブレイクは、2,483トライのシグナルと想定しておきたい。
金価格が2,483を突破する場合は、2,500ドルのトライが焦点となろう。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準2,503の攻防に注目したい(下のチャート、赤ラインを参照)。
なお、金価格が2,483以上の攻防へシフトした後に、反落の局面で2,483レベルまたは2,500レベルがサポートラインへ転換する場合は、金価格が新たなレンジの攻防へシフトするシグナルとなろう。
金価格のチャート:日足 24年6月以降
出所:TradingView
反落の局面では3つのサポート水準が焦点に
一方、金価格(XAU)の下落局面では、3つの水準に注目したい。
最初の水準が5月20日の高値2,450レベルである(上の日足チャートを参照)。次に注目したいのが10日線である。この移動平均線は今日現在、2,430台で推移している(上の日足チャート、青ラインを参照)。
上記のサポート水準と下の1時間チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメントを照らし合わせると、前者の2,450レベルは現時点での直近高安で算出されるフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準にあたる。後者の10日線は今日現在、38.2%戻し付近で推移している。
そして最後に注目したい水準が、2,415レベルである。この水準は、サポートラインへの転換が確認された経緯がある(下のチャート、黒矢印を参照)。10日線を下方ブレイクする下落を止める場合は、強固なサポート水準として意識される可能性が高まろう。
45分足(または別の時間軸の分足)のストキャスティクスとRSIで相場の動向を追い、これら指標が買われ過ぎの水準でゴールデンクロスの状況にある時に、金価格が上で取り上げたサポート水準をトライする場合は、反発相場を意識したい。
NY金価格のチャート:1時間足 8月5日以降
出所:TradingView
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