NY金の上昇一服、米雇用統計にらみ 内容次第で金価格は2900ドルが視野に
強気相場を維持するNY金。スポットの金価格は5日に2,880ドルへ上昇した。今晩の米雇用統計次第では2,900ドルを視野に上昇幅が拡大する可能性がある。一方で、強い雇用統計はゴールドの調整売りを促す要因になり得る。
![Source:Bloomberg](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/uk/images/news-article-image-folder/Adobe_gold_bars_10-08-2024.jpeg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
記事の概要
NY金の先物価格(4月物)は5日の市場で4営業日ぶりに反落した。しかし、トランプ関税を巡る警戒感がそう簡単に後退することはなく、その幅は限定的だった。スポット価格は5日線でサポートされる状況にある。今晩は1月の米雇用統計が発表される。労働市場の軟化が確認される場合、金価格は2,900ドルをトライする可能性があろう。逆に強い米雇用統計は、ゴールドの調整売り圧力を高める要因になり得る。今日の予想レンジの下限は2,820ドル、上限は2,909ドル。
目次
強気相場を維持するNY金、スポット価格は6週連続の上昇
NY金の先物価格(4月物)は5日の市場で4営業日ぶりに反落した。しかしその幅は限定的だった。トランプ関税を巡る先行きリスクに対する投資家の警戒感の高さを示唆した。
スポット価格も5日の短期線でサポートされた。週間の騰落率を確認すると6週連続で上昇し、金価格が強気相場にあることが分かる。
スポット金価格の週間騰落率:2024年9月以降
![スポット金価格の週間騰落率:2024年9月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Gold_Performance_250207.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成
買いを手控える投機筋、今晩の米雇用統計にらみ
強気相場を支えている要因の一つに投機筋の買いがある。しかし直近は、そのゴールド買いが一服している。この点を米国商品先物取引委員会(CFTC)が提供している1月28日時点のデータで確認すると、前週比で3週連続買い越し(ネットロング)が増加した後、直近はネットロングが1,375枚減少した。
非商業部門 買い越し(ネットロング)の増減
![非商業部門 買い越し(ネットロング)の増減](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Gold_CFTC_250207.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
CFTCとブルームバーグのデータで筆者が作成 / 前週比の増減
今晩に1月の米雇用統計が発表される。こちらのIG為替レポートで指摘した通り、今日の米債市場は雇用統計で大きく動く可能性がある。
非農業部門雇用者数と平均時給が予想以上に上昇しかつ失業率が低下すれば、米長期金利(10年債利回り)に反発の圧力が高まることが予想される。このケースでは、投機筋を中心とした短期的な利益確定売りの進行が予想される。NY金相場は下値をトライの展開が予想される。
一方、1月の米ISM非製造業景気指数に続き米雇用統計も予想以上に弱い内容となれば、投機筋は再びゴールド買いに動く動機づけとなる。NY金相場は新たな高値の水準を目指す展開を想定したい。
米国の雇用統計 各項目の動向:2024年1月~12月
![米国の雇用統計 各項目の動向:2024年1月~12月](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/US_NFP_250207.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:1月の市場予想
金価格 今日の見通しと注目のテクニカルライン
上昇局面では2,900ドル台への上昇が焦点に
今晩の米雇用統計が米金利の低下要因となれば、スポットの金価格(以下では金価格)は下でまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
・今日の予想レンジの上限は2,900ドル前後。このラインをトライするサインとして、まずは5日の高値2,882ドルの突破を確認したい
・金価格がフィボナッチ・エクステンション76.4%の水準2,891ドルをも突破すれば、2,900ドルのトライを想定したい。このケースでは、米雇用統計で米金利の低下幅が拡大していることが予想される。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション100%の水準であり、かつ今日の予想レンジ上限でもある2,909ドルのトライを意識したい
レジスタンスライン
・2,909:フィボナッチ・エクステンション100%、予想レンジの上限(1時間足)
・2,900:レジスタンスライン(日足)
・2,891:フィボナッチ・エクステンション76.4%(1時間足)
・2,882:2月5日の高値(1時間足)
下落局面では2,820ドルの維持が焦点に
金価格は50日線との乖離が急速に拡大しており、短期的な相場の過熱感が意識されやすい。この状況で米雇用統計が強い内容となれば、これまでの上昇の反動で金価格は調整売りに直面することが予想される。今日の予想レンジの下限は2,820ドル。このラインを目指すサインとして、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
・最初の焦点は、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準2,846ドルの維持となろう。すぐ上には相場の反落を止めた5日線が推移している
・金価格が2,840ドル台を下方ブレイクする場合は、サポートラインへ転換する兆しが見られる2,830ドルのトライを想定したい
・米雇用統計が市場予想と大きくかけ離れた強い内容となれば、これまでの上昇の反動で金価格は2,830ドルを瞬間的に下方ブレイクする可能性がある。このケースでは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準2,824ドルのトライを想定したい。このテクニカルラインのトライは、予想レンジの下限を維持する攻防でもある
サポートライン
・2,846:フィボナッチ・リトレースメント23.6%、5日線(日足)
・2,830:サポートライン(1時間足)
・2,824:フィボナッチ・リトレースメント38.2%(日足)
・2,820:予想レンジの下限
金価格のチャート
日足:2024年12月以降
![日足:2024年12月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/XAUUSD1_20250207.png/jcr:content/renditions/original-size.webp)
出所:TradingView
1時間足:2月以降
![1時間足:2月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/XAUUSD2_20250207.png/jcr:content/renditions/original-size.webp)
出所:TradingView
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