Market Analysis
11日の米国株式市場では、S&P500指数が2016年安値1810.10を起点とした長期サポートラインとそれに並行している52週MAを一時的に下方ブレイクする局面が見られた(チャート①)。VIX指数は、リスク回避本格化の水準25ポイントをつっかける状況となっている(チャート②)。25ポイント以上となれば、2月のリスク回避相場の再来を警戒したい。そのような状況となる場合、注視すべきはドル円の下落幅拡大である。11日の主要通貨騰落率を確認すると、米ドルは対先進国通貨で全面安となった。一方、対新興国通貨ではブラジルレアル以外軒並み下落。現在のリスク回避局面では米ドルが売られ易い状況となっていることを昨日の動きは示唆している。従来、リスク回避の局面では米ドル買い圧力が高まり易い。しかし、現在は逆の動きとなっている。その理由は米長期金利の低下との相関性にあろう。利回りスプレッドと各通貨ペアの動きを比較したチャート③を確認すると、「米長期金利の低下→利回りスプレッド縮小」の局面において米ドル相場が売りで反応していることがわかる。この状況で株安による円高圧力も考慮するならば、ドル円の下落幅の拡大を警戒したい。
本日のドル円は3月安値104.55を起点とした短期サポートラインの攻防となるか、この点に注目したい。このラインは今日現在111.60前後で推移しており、且つリトレースメント61.80%とクロスしている。リスク回避相場の継続によりこれらテクニカルを下方ブレイクする展開となれば、次のターゲットは5月安値108.10を起点とした短期サポートラインとなろう。このラインは今日現在110.80レベルに位置している。一方、調整の反発局面では112.50レベルの攻防が焦点となろう。昨日はこのレベルで上値がレジストされた(高値112.53)。一方、ユーロドルは21日MA(1.1619)が攻防分岐となろう。「米長期金利の低下→利回りスプレッドの縮小」の状況が続くならば、このMAの上方ブレイクを想定している。逆に米株が調整の反発となれば米長期金利への低下圧力後退による米ドルのショートカバーを意識したい。このケースでは10日MA(1.1532)の維持が焦点となろう。1.1610から1.1630にかけては断続的にオファーが観測されている。