カーナビ業界の再編が進むなか、日立製作所が子会社クラリオンをフランスの自動車部品メーカー大手フォルシアに売却する検討に入った。
日立はフォルシアによるTOB(株式公開買い付け)に応じ、クラリオン株50%超を譲渡する見通し。国内メディアによると、売却価額は800億円前後とみられる。日立は18年3月末時点でおよそ63%のクラリオン株を保有。
クラリオンは自動車メーカーにカーナビをOEM(相手先ブランドによる生産)供給しているが、スマホの普及を受け需要は伸び悩んでいる。25日発表の18年4~9月期連結決算は、純利益が前年同期比85%減少。
クラリオンはカーナビ以外に自動車向けクラウド情報ネットワーク、カーオーディオ、自動駐車システム、業務用車載機器(運行管理システム、カメラ等)の開発・販売を手掛けている。18年3月期の連結売上高は約1830億円。
一方、空調や音響機器、安全運航システムを手がけるフォルシアは、クラリオン買収を通じて日本市場への浸透強化を図る。17年12月期売上高が約169億ユーロ(2兆1000億円)の同社は、1992年に現地法人フォルシア・ジャパンを設立。今年5月に横浜に技術開発拠点を開設した。
カーナビ業界では、パイオニアが香港の投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア傘下のファンドから最大600億円の出資を受ける方針を先月発表。富士通のカーナビ子会社である富士通テンは、デンソーに売却されている。
クラリオンは、日立が買収する06年までクラリオンガールなるキャンペーンキャラクターを毎年選出していたことでも知られている。立憲民主党の蓮舫参議院議員は88年のクラリオンガール。