6日の石油輸出国機構(OPEC)総会で産油国が協調減産で合意するとの見方が市場で増えている。こうしたなか、11月に22%下落したニューヨーク原油先物相場は下値を切り上げている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が4日発表したところによると、原油先物市場は61.21%の確率でOPEC総会で「小幅な減産」が決まると見込んでいる。先月30日時点では「小幅な減産」と「減産なし」との見方が拮抗していたが、その後は減産派が増加している。
この背景にあるのが1日のサウジアラビアのムハンマド皇太子とロシアのプーチン大統領の協議だ。アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議の合間に会った両者は、OPECとロシアが実施している原油の協調減産を継続することで一致した。具体的な数量は今後詰めるという。
さらには、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する統計からも、投資家が産油国減産に備えていることがうかがえる。
CFTCが先月30日に発表した27日時点の建玉明細によれば、ヘッジファンドなど資産運用会社によるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油のポジション総数は5年ぶりの低水準に落ち込んだ。弱気ポジションが強気ポジションを上回るペースで減少した結果、買越残高は12週間ぶりに増加している。
G20最中でのロシアとサウジによる減産合意に加え、カナダ・アルバータ州が2日に州内の石油生産業者に対し日量32万5000バレルの減産を命じたことで、原油相場は週明けに反発。1月限は先月29日の時間外取引で1バレル=49.41ドルまで下落した後、4日の時間帯取引で54.55ドルまで上昇した。5日の終値は53.25ドル。