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3月の米長期金利の動向は? 1月は下落、2月は上昇 株価の動きにも影響

米国の長期金利は1月は下落し、2月は上昇。3月は下落気味のスタートで株価を押し上げた。今後もFRB幹部の発言などに注目が集まる。

出所:ブルームバーグ

米国の長期金利の方向感が定まらない。長期金利は2022年12月末ごろから年明け1月中は下落傾向だったが、2月に入ると一転して上昇を続けた。ところが3月に入ると再び下落の様相をみせており、どっちつかずの展開だ。背景にあるのは米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続にもかかわらず、景気の強さがさほど衰えないという不可思議さだ。不安定な金利動向は株価の方向性にも影響しており、7日のパウエル議長の議会証言など今後の重要イベントに注目が集まっている。

米長期金利の方向性は月替わりで変化

米国の長期金利はこのところ月替わりで方向性が変わっている。2022年12月28日に3.886%まで上昇した長期金利は年が明けた1月に入って下落を続けた。きっかけは米国の失業保険関連の指標の悪化で、その後も企業業績のさえなさなどが景気の見通しを弱くし、FRBが利上げの手を緩めるとの見方がじわじわと広がっていった。この結果、長期金利は翌2月2日には3.398%まで低下した。しかし3日発表の雇用統計では就業者数が大幅に増加。一転して景気の強さが意識され、FRBによる利上げが長期化するとの観測から、長期金利は上昇を続けた。

その長期金利が3月に入ると下落の兆しをみせている。3月2日に4.073%まで上昇したものの、翌3日は3.963%まで下がり、週明け6日もほぼ同じ水準だった。

FRB理事の発言の影響も

引き金のひとつが景気の見通しが強気のタカ派とされるFRBのウォーラー理事の発言だ。ウォーラー理事は2日、物価上昇に警戒感を示しつつ、次回(21、22日)の連邦公開市場委員会(FOMC)での望ましい利上げ幅について、市場が想定している0.25%か、それよりも大きい0.5%かを明言せず。これが3日の金融市場で「タカ派の理事でも0.5%幅を明言しなかった」と受け止められ、金利の先高観を弱めたとみられる。同じウォーラー理事が2月に物価上昇に警戒感を示したときは金利の先高観を強めたが、今回は逆方向に金利を動かした形だ。

FRBは2022年3月に政策金利の引き上げに着手。6月から11月にかけては異例の0.75%幅の利上げを4回連続で行うなど、景気を冷やして物価上昇を抑えようと懸命だ。しかし失業率は依然として歴史的な低水準で、物価上昇圧力の強さを示唆している。FRBはこれまでの利上げの効果が表れるのにタイムラグが生じているだけのか、さらなる金利引き上げが必要なのかを見極められずにいる。

長期金利の方向性は米国の株価にも影響を与えている。S&P500種株価指数は1月中は金利低下が企業活動の後押しになるとの見方から上昇したが、2月に金利が上昇傾向に入ると一転して下落を続け、3月は値上がりしている。7日に予定されているパウエル議長の議会証言や10日に発表される2月の雇用統計の内容次第では、次の方向転換が起きる可能性もありそうだ。


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