【米国株】利下げ期待後退で金利上昇リスクに直面するマグニフィセントセブン、ナスダック100の見通し
米長期金利が4.7%を視野に上昇基調にある。マグニフィセントセブンは米金利の上昇リスクに直面している。目先のナスダック100は、上下に振れる不安な展開が予想される。
インフレ懸念を高めたISM非製造業景気指数の仕入価格
米供給管理協会(ISM)が7日に発表した昨年12月の非製造業総合指数は54.1へ上昇した。ブルームバーグがまとめた市場予想は53.5を大きく上回った。
市場参加者が注目したいのが仕入価格だった。需要の増加に伴い昨年11月の58.2から64.4へ急上昇した。2023年初旬以来約2年ぶりの高水準となり、インフレ再燃の懸念を高めた。
ISM非製造業景気指数と仕入価格:2023年12月-2024年12月
ブルームバーグのデータで筆者が作成
強まる米利下げパスの不透明感、長期金利は4.7%が視野に
インフレ再燃の思惑は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げパスの不透明感を高めている。
1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ見送りは、昨年から織り込まれている。問題は、3月のFOMCでも利下げ見送りの可能性が高まっていることである。昨年の12月以降利下げの確率がじわりと後退し、本記事を掲載した時点では35%まで低下している。また、5月の利下げ確率も20%を切っている。米利下げパスの不透明感が次第に強まっている。
利下げ期待の後退は米金利の上昇を促している。長期金利(10年債利回り)は昨日4.69%まで上昇し、4.7%が視野に入る状況にある。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ確率:3月 / 5月
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 8日午前7時時点
※OISに基づく利下げ確率、マイナス表記:利下げ
金利上昇のリスクに直面するマグニフィセントセブン、エヌビディアとテスラが失速
昨年12月9日以降、米長期金利(10年債利回り)は反発へ転じた。そして現在は、4.7%が視野に入る。長期金利の上昇は米国株の重石となり、7日は主要な米株価指数が下落して終えた。
株高のけん引役に返り咲いたマグニフィセントセブンも金利上昇のリスクに直面している。長期金利が上昇基調へ転じた昨年12月9日以降のパフォーマンスを確認すると、アルファベット(GOOGL)以外は軟調地合いにあることが分かる。
注目はエヌビディア(NVDA)とテスラ(TSLA)である。6日の市場で最高値を更新したエヌビディアだったが、7日の市場では米長期金利の上昇が利益確定売りを促し6%を超す急反落で終えた。トランプ銘柄として注目されたテスラは、2024年の世界新車販売台数が前年比1.1%減の178万9,226台と市場予想179万台強を下回り、初の前年割れとなった。株価も失速している。
マグニフィセントセブンのなかでも株高をけん引してきたこれら2銘柄の失速は、ナスダック100の短期的な先行きの不透明感を高めている。
マグニフィセントセブンとナスダック100の動向:2024年12月9日以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 基準日:2024年12月6日
ナスダック100の見通しと注目のテクニカルライン
ナスダック100は現在、右肩上がりのトレンドチャネル内で推移しており強気相場を維持してはいる。しかし、上で述べた米利下げパスの不透明感と長期金利の上昇は、ナスダック100の下落要因である。日足のMACDは昨年12月下旬以降低下へ転じ、ゼロラインが視野に入る(日足、黒矢印を参照)。強気地合いが後退しつつあることを示唆している。
今日は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月17-18日開催分)が公表される。インフレの再燃に対する警戒と利下げについて慎重な意見が相次げば、「利下げ期待のさらなる後退→長期金利のさらなる上昇」が予想される。このケースでのナスダック100は、50日線の下方ブレイクとトレンドチャネルの下限ラインをトライする展開を想定したい。後者のテクニカルラインを下方ブレイクすれば、今月2日の安値20,800ポイントのトライが次の焦点に浮上しよう。20,800ポイントをも難なく下方ブレイクすれば、今日現在20,728ポイント付近にある75日線とフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準20,707ポイントのトライを想定したい。
サポートライン
・21,049:50日線(日足、1月7日時点)
・20,920:トレンドチャネルの下限ライン(日足)
・20,800:1月2日の安値(45分足)
・20,728:75日線(日足、1月7日時点)
・20,707:フィボナッチ・リトレースメント38.2%(日足)
一方、ナスダック100の上昇局面では、20日線の攻防が焦点となろう。この移動平均線を突破する場合は、3つの高値水準の攻防に注目したい。
問題は、20日線がレジスタンスラインへ転換する場合である。このケースではナスダック100の地合いの弱さを市場参加者に印象付けるだろう。上で取り上げたサポートラインの攻防を意識する状況が続くだろう。
レジスタンスライン
・21,837:昨年12月26日の高値(日足、45分足)
・21,703:1月6日の高値(日足、45分足)
・21,621:1月7日大陰線の高値(日足)
・21,473:20日線(日足)
ナスダック100のチャート
日足:2024年9月以降
出所:TradingView
45分足:2024年12月中旬以降
出所:TradingView
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