短期の焦点と中長期の焦点 より重要なのは後者 / ドル円とユーロドルのポイント
サマリー:「短期的には新型ウイルスとワクチンの有効性に関する報道が焦点に。中長期にはFRBの政策スタンスが焦点となろう。ドル円とユーロドルの焦点は?上下のチャートポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
短期の焦点と中長期の焦点 より重要なのは後者
・短期の焦点:ワクチンの有効性に関する情報
先月30日のグローバル株式市場は、オミクロン株に対してモデルナ製の既存ワクチンの効果が薄い(モデルナCEO)との情報が流れ、リスク回避一色の展開となった。
外為市場では「株安→円買い」といういつものパターンが見られた。
先月29日のレポートでも指摘したとおり、短期的には既存ワクチンの効果に関する報道が投資家心理に大きな影響を与えよう。オミクロン株に対してファイザー製のワクチンは有効である可能性が高い(ファイザーCEO)との見解もある。
ワクチンの有効性に関する情報が錯そうする中、株式市場はしばらく上下に振れる不安定な展開が予想される。株安の局面では円買い優勢の展開を意識しておきたい。
・中長期の焦点:FRBの政策スタンス
一方、中長期の観点で考える場合、焦点はパウエルFRBの金融政策スタンスが重要なテーマである。
パウエルFRB議長は昨日開かれた上院銀行委員会の証言で、「インフレは一時的」という表現は正確ではないと指摘した。さらにインフレのリスクを考慮し、資産の縮小(テーパリング)ペースを速める可能性についても言及してきた。
パウエル発言を受け、金融政策の方向性に敏感な2年債の利回りは0.57%まで上昇した。また短期金融市場では、来年6月の利上げ確率が70%付近まで上昇している(本日8時30分時点)。
新型ウイルスのリスクが未だにくすぶり続ける中、金融政策の正常化に向けてアクセルを踏み込んできたパウエルFRBのスタンスは、金利の上昇リスクを高めると同時に米国株にとって重石となる可能性があろう。
まずは、12月14~15日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で、パウエルFRBがテーパリングのペースと利上げについてどのような見解を示すのか?この点を確かめることが重要なテーマとして浮上してきた。
アメリカ2年債利回りのチャート
ドル円のポイント
リスク回避相場を受けドル円(USDJPY)は昨日、重要サポートポイント112.70レベルを下方ブレイクする局面が見られた。しかしパウエル発言を受け、すぐに113円台へ反発する荒れた展開となった。
筆者が注目しているのは、21日線(SMA、今日現在114.01レベル)での攻防である。このテクニカルラインは現在、サポートからレジスタンスへ転換しつつある。日足ローソク足で連日上ヒゲが示現し、21日線をトライ出来ずにいる状況を考えるならば、今のドル円は新たなサポートポイントの水準を探す局面にある。
その候補だった112.70は破られた。そして新たな候補として浮上してきたのが、昨日の安値112.52レベルである。すぐ上の112.60レベルは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。株安の局面で下値トライとなる場合、112.50-60ゾーンで反発するかどうか?まずはこの点を確認したい。
ドル円のチャート
ユーロドルのポイント
米欧の金融政策スタンスの違いがより鮮明となってきたこと、そしてオミクロン株の感染拡大のリスクとそれに伴う経済への悪影響を考えるならば、今のユーロドル(EURUSD)は1.12レベルでよく持ちこたえている。
昨日の日足ローソク足は、長い下ヒゲ付きの陽線引けとなった。レジスタンスとして意識されている21日線(EMA、今日現在1.1372レベル)およびフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準(1.1378)を上方ブレイクする場合、短期的な反発トレンドが続く可能性があろう。
これらテクニカルポイントの突破に成功する場合は、1.14レベルのトライが次の焦点として浮上しよう。
しかし、パウエルFRBが金融政策の正常化に向けてアクセルを踏み込んできたことを考えるならば、トレンドの軸はユーロ安/米ドル高にある。よって現在の反発局面は、新たなレジスタンスの水準を探る局面と捉えたい。
ユーロドルのチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。