ユーロ円は調整の反落を警戒する局面に
国内からの円安けん制やさえないドイツの経済指標を受けても、26日のユーロ円の下落幅は限定的だった。この状況はユーロ円の地合いの強さを示唆している。しかし、目先はユーロ円の反落を警戒したい。ユーロ円の下値トライで注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・円安のけん制やさえないドイツの経済指標を受けてもユーロ円は底堅さを維持
・しかし目先のユーロ円は反落リスクを警戒しておきたい
・ユーロ円の上昇局面では157.00レベルと158.67レベルの攻防が焦点に
地合いの強さを維持するユーロ円
さえないドイツの経済指標
ドイツのIFO経済研究所が26日に発表した6月の企業期待指数は、前月改定値の88.3から83.6へ急低下し、今年に入り最低水準まで落ち込んだ。
ドイツIFO指数の推移
IFO指数が前月から総じて低下したことを受け、この日のドイツ長期金利は2.3%台まで低下した。
一方、外為市場ではユーロ売り優勢の展開となったが全面安とはならず、豪ドル(AUD)、英ポンド(GBP)そして米ドル(USD)ではユーロが上昇する展開となった。
ユーロ相場のパフォーマンス:6月26日
底堅さを維持するユーロ円
今週のIG為替レポートで注目しているユーロ円(EURJPY)は、下値を試す展開が見られた。
しかし、安値155.75レベルで反発した。日足ローソク足では陰線引けとなったが、長い下ヒゲが示現した。
国内サイドからの円安けん制とドイツIFO指数の低下という下落要因が重なってもユーロ円の下落幅が限定的となった状況は、今のユーロ円の地合いの強さを示唆している。
ユーロ円は調整の反落を意識する局面に
短期的な過熱感と反落のリスク
ユーロ円(EURJPY)のトレンドを日足チャートで確認すると、10日MA(今日現在155.17レベル)以上の水準を維持する状況が続いている。5月以降、この移動平均線はレジスタンスとしてもサポートとしても意識される局面が見られた。
しかし現在は、157.00レベルがレジスタンスとして意識される状況にある。そしてストキャスティクスやRSIで短期的な過熱感(買いの過熱感)が意識される状況にあることも考えるならば、ユーロ円の反落局面では10日MAがサポートラインとなるかどうか?この点を確認したい。
ユーロ円のチャート
また、通貨オプション市場のリスクリバーサルでもユーロ円の反落を意識する動きが見られる。
1ヶ月と3ヶ月のそれらのトレンドを確認するとユーロ・プットに傾いている。この動きに連動するように、ユーロ円のラインも下落へ転じるムードにある(グレーゾーンを参照)。
ユーロ円が10日MAを完全に下方ブレイクする場合は、6月20日に相場をサポートした154.00レベルまで反落する展開を警戒しておきたい(上の日足チャートを参照)。
ユーロ円のチャート
調整の反落をこなしながらレジスタンスの水準を探る展開が続く
だが、国内サイドからの円安けん制や円買い介入が意識される状況にあるなかでも、昨日の円買いは限定的だった(ユーロ円の下落幅は限定的だった)。この状況は、今のユーロ円(EURJPY)の地合いの強さを示唆している。
ユーロ円の底堅さの根底にあるのは、日欧中銀の金融政策スタンスの差にあると考えらえる。
短期金融市場では、欧州中央銀行(ECB)が7月の理事会で追加の利上げに踏み切ることを完全に織り込んでいる。また、9月の理事会でも70%台の確率で連続の利上げを織り込む状況にある。
植田日銀が金融緩和政策の修正や撤廃に動かない限り、外為市場では日欧中銀の政策スタンスの差が引き続き意識されよう。
よって、今後数週間のユーロ円は調整の反落を挟みながら、新たなレジスタンスの水準を探る展開が続くと予想する(日本の通貨当局による円買い介入がないことが前提)。
157.00(157.09)と158.67のトライおよびブレイクアウトが焦点に
調整の反落をこなしながらユーロ円(EURJPY)が上値トライの展開となる場合、目先の焦点は157.00レベルのブレイクアウトである。具体的には、V計算値の水準157.09レベルを完全に突破できるかどうか?この点に注目したい。
ユーロ円が157円台で底固めの展開となれば(例えば157.00レベルがサポートへ転換すれば)、さらなる上値トライを想定しておきたい。ユーロ円がさらに上値を目指す局面では、N計算値の水準158.67レベルを次の上値ターゲットと想定しておきたい。
ユーロ円のチャート
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