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ユーロ、対米ドルで下落幅が拡大、急速に高まるECBの連続利下げ観測、ユーロ円の見通し

ユーロドルの下落幅が拡大している。対照的にユーロ円は底堅さを維持している。しかし、ドル円の動向次第でユーロ円の下落幅も拡大する可能性があろう。今週のユーロは、明日のECB理事会とラガルド会見後の反応に注目したい。目先、注目しておきたいユーロ円のチャート水準は?

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記事のポイント

・対米ドルでユーロの下落幅が拡大している
・連続利下げを織り込む市場、ECB理事会でユーロ売り加速か
・対円では底堅さを維持するユーロ、円安圧力の根強さを示唆する動き
・ユーロ円のテクニカル分析、目先注目のチャート水準について


対米ドルで下落幅が拡大するユーロ

10月に入り、対米ドルでユーロの下落幅が拡大している。直近のトレンドを日足チャートで確認すると10日線のみならず、21日線も50日線との間でデッドクロスの状況へ転じた(下の日足チャート、黒矢印を参照)。

そして現在は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.0880レベルをトライする状況にある(下の日足チャート、赤矢印を参照)。

ユーロドルのチャート:日足 2024年8月以降

ユーロドルのチャート:日足 2024年8月以降

出所:TradingView

ユーロ売りを仕掛ける投機筋

ユーロ安の要因の一つが、投機筋の売りである。米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、9月上旬を境に、非商業部門(投機筋)のネットロング(買いポジション-売りポジション)が減少の一途にある。

11月7日に英中銀(BOE)は金融政策委員会(MPC)を開く。外為市場の参加者は0.25%の利下げを織り込んでいる。ECBと同じく利下げが意識される状況にありながら、ポンドのネットロングは横ばいで推移している。

ユーロとポンドの間にある違いは、下で述べるECBとBOEの利下げペースの差にあると考えられる。

非商業部門のポジション動向:ユーロとポンドのネットポジション 2024年6月以降

非商業部門のポジション動向:ユーロとポンドのネットポジション 2024年6月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

高まるECBの連続利下げ観測

今週17日に、欧州中央銀行(ECB)が理事会を開く。短期金融市場では0.25%の利下げが確実視されている。ゆえに市場参加者の関心は、ECBの利下げのペースに向いている。今年最後となる12月12日の理事会でも0.25%の利下げが90%の確率で織り込まれている。

注目すべきは2025年の市場予想である。現時点で短期金融市場では、来年もECBが持続的な利下げに踏み切る可能性を織り込み始めている。

欧州中央銀行 政策金利の予想推移

欧州中央銀行 政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 16日 13時時点の予想推移

一方、英中銀(BOE)は12月19日に今年最後のMPCを開く。現時点での利下げ確率は40%台で推移している。短期金融市場では、BOEの連続利下げについてまだ完全に織り込む状況にはない。この差が投機筋のポジション動向に影響していると考えられる。

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースについては、一時意識された連続の0.5%利下げの思惑が完全に後退している。この背景にあるのは、経済指標に裏打ちされた米国経済の堅調さにある。一方、ECBは新たな懸念に直面している。

ドイツ経済は”欧州の病人”へ逆戻りか

9月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は前年同月比で1.8%増と、ECBが物価目標としている2%を下回る状況にある。コア指数は同比で2.7%増と目標を上回る水準にあるが、トレンドは鈍化の傾向にある。

インフレの鈍化傾向は、ラガルドECBにとって朗報である。しかし、ここにきて新たな懸念が浮上している。それが、ドイツの景気懸念である。

ドイツ政府は今月9日に秋の経済見通しを公表した。それによれば、2024年の実質成長率をマイナス0.2%と、4月時点のプラス0.3%から下方修正した。仮に同国が2年連続のマイナス成長に陥れば、2002〜03年以来となる。2000年前後のドイツは、高い失業率と慢性的な財政赤字の問題を抱え「欧州の病人」と呼ばれた。

ドイツ経済の弱さは、ドイツのIFO経済研究所によるIFO企業景況感指数(現況指数と期待指数の平均、毎月約9000社の企業を対象に景況感についてのアンケート調査)も示唆している。

同指数は、2021年の半ばをピークに低下のトレンドにある(下のチャート、赤ラインを参照)。

ドイツIFO企業景況感指数:2021年以降

ドイツIFO企業景況感指数:2021年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

ドイツの景況感を考えるうえでもう一つ注目したいのが、欧州経済研究センター(ZEW)が月次で公表するZEW景況感期待指数である。

15日に発表された10月の結果は13.1と、9月の3.6から改善した。しかし、今年の半ば以降、再び景況感が悪化の傾向へ転じていることを考えるならば、単月の経済指標でドイツ経済の先行き懸念を払しょくすることはできないだろう。

事実、昨日のユーロドルは続落した。強い経済指標でもユーロ売り優勢となった状況は、米欧の景気格差とそれに伴う利下げペースの差が強く意識されていることを示唆している。

ドイツ ZEW景況感調査(期待指数):2021年以降

ドイツ ZEW景況感調査(期待指数):2021年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

それでも底堅さを維持するユーロ円

ユーロドル(EUR/USD)は下落トレンドへ転じている。しかし、ユーロ円(EUR/JPY)は底堅さを維持している。このトレンドは、英ポンドも同じである(詳細はこちらのIG為替レポートを参照)。

主要なクロス円の一角であるユーロ円とポンド円(GBP/JPY)が底堅さを維持する今の状況は、外為市場でいかに円安の圧力が強いのか、を物語っている。

ユーロ円は現在、164.00レベルがレジスタンスのラインとして意識されている(下の日足チャート、緑ラインを参照)。ユーロドルの下落が重しとなっているが、150円を視野に底堅さを維持するドル円(USD/JPY)に支えられている状況を考えるならば、ユーロ円はドル円にらみの展開と言える。

明日の9月小売売上や週間の新規失業保険申請件数が米ドル買いの要因となれば、ドル円は150円台へ上昇することが予想される。ユーロ円は164.00レベルを突破する展開を想定しておきたい。

ユーロ円が164円台の攻防へシフトする場合は、7月11日の高値と8月5日の安値の半値戻しの水準164.92レベルのトライが次の焦点に浮上しよう。ユーロ円が165円台へ上昇するかどうか?を見極める水準として、このテクニカルラインの攻防に注目したい。

ユーロ円のチャート:日足 2024年7月以降

ユーロ円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

ドル円が崩れる場合の焦点は?

ユーロ円(EUR/JPY)はドル円(USD/JPY)にらみの状況にある。ゆえに、そのドル円が崩れる場合は、ユーロ円も下値をトライする展開となろう。

ユーロ円はすでに10日線(今日現在162.72レベル)を下方ブレイクする状況にある。日足のRSIはデッドクロスへ転じている。MACDでも同じ状況が確認される場合は、ユーロ円の下落を想定しておきたい。

ユーロ円の下落局面で注目したいのが、161円の維持である。この水準は、現時点での10月高安の半値戻しにあたる(下の1時間足チャートを参照)。

ユーロ円が161.00をトライするサインとして注目したいのが、短期サポートラインの攻防である。このラインと並行して21日線が推移していることを考えるならば、21日線の攻防が焦点とも言える。この移動平均線は今日現在、161.27レベルで推移している(上の日足チャート、黄色ラインを参照)。

162.00の下方ブレイクは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準161.62レベルをトライするサインと捉えたい(下の1時間足チャートを参照)。ユーロ円がこのテクニカルラインをも下方ブレイクする場合は、21日線そして161.00を視野に下落幅が拡大する可能性を意識したい。

時間足(本レポートでは1時間足を採用)でユーロ円のトレンドと短期的な相場の過熱感を確認しながら、これらテクニカル指標がゴールデンクロスへ転じてる場合、特に上で述べたサポート水準でゴールデンクロスが確認される場合は、ユーロ円の上昇と10日線の上方ブレイクを意識したい。

ユーロ円が10日線を突破した後、反落の局面でこの移動平均線が相場をサポートする場合は、164.00レベルをトライするサインの一つと捉えたい。

ユーロ円のチャート:1時間足 10月以降

ユーロ円のチャート:1時間足 10月以降

出所:TradingView


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