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【ポンド円】目先の見通しとチャートポイント

今年のポンド円(GBPJPY)は、ドル円の上昇トレンドにサポートされてきた。しかし今後は、ポンド円の下落相場を警戒する必要がある。その理由は?目先、注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・ドル円の上昇トレンドは、ポンド円のサポート要因となってきた
・しかしこれからのポンド円は、下落相場を警戒する必要があろう
・ポンド円の上昇局面では、3つの移動平均線の攻防に注目したい
・ポンド円の下落局面では、178円と180円の維持が焦点となろう


今年のポンド円はドル円の上昇にサポートされてきたが

今年のポンド円(GBP/JPY)は、ポンドドル(GBP/USD)よりもドル円(USD/JPY)の影響を受けやすい状況にある。

これら3通貨ペアの相関係数を確認すると、ポンド円とドル円のそれが0.66であり、ポンド円とポンドドルの0.41と比べて高い順相関の関係にあることが分かる。

ポンド円、ドル円、ポンドドルの相関マトリクス

ポンド円、ドル円、ポンドドルの相関マトリクス ブルームバーグのデータをもとに作成 / 対数差分の相関係数 / データ数:191

ポンド円、今後の見通しは?

そのドル円(USD/JPY)は現在、日米金融政策スタンスの差が意識され148円台へ上昇し、さらに上値をトライする状況にある。

ドル円が上昇トレンドを維持していることは、ポンド円(GBP/JPY)のサポート要因となろう。

しかし今後のポンド円は、反発しても上値の重い展開、または下落相場を警戒する局面が多く見られると予想する。

そう考える理由は2つある。ひとつは、イングランド銀行(英中銀、BOE)の政策動向である。

BOEは先週21日、金融政策委員会(MPC)を開催した。政策金利は5対4の僅差で据え置かれた。英国のインフレリスクは完全に後退したわけではない。ゆえに今回の据え置きは一時的な利上げの停止であり、追加利上げの可能性は残る。ベイリー総裁も利下げの検討は時期尚早と述べている。

しかし、コアインフレ率はようやく鈍化の傾向へ転じている(8月は6.9%へ鈍化)。そして今後は、長年続いた金融引き締めが景気に与える影響を注視する必要がある。また、ベイリー総裁は先週21日、10月にインフレ率が顕著に低下すると予想していると述べた。

今後は利上げ政策が景気に与える影響にも配慮する必要があろう。これらの状況を考えるならば、BOEの利上げサイクルは最終局面に差し掛かっている。

短期金融市場では、年内にあと1回の利上げの可能性を織り込む状況にある。しかし、BOEが追加の利上げを行っても、外為市場の参加者はその先の景気懸念と利下げ政策への転換を意識しよう。これらに対する市場の思惑は、ポンド売りの要因である。

英中銀 政策金利の予想推移

英中銀 政策金利の予想推移 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 9月25日 10時時点のデータ


一方、円買いの要因として意識すべきは、日米の株式動向である。連邦準備制度理事会(FRB)は9月の連邦公開市場委員会(FOMC、21~22日開催)でインフレ抑制重視のスタンスをあらためて表明してきた。

追加の利上げ、そして政策金利を長期に渡り高水準で維持される可能性が高まったこと(利下げの時期がさらに後ずれしていること)で、米国株は下落ムードにある。

米株高のトレンドが崩れる場合、その影響は日本株にも波及しよう。日米の株式市場で調整の反落相場が続く場合、リスク回避の円買いの圧力が高まることが予想される。

景気の先行き懸念、最終局面に差し掛かる利上げサイクル、そして日米株式が調整相場へ転じる可能性は、いずれもポンド円(GBPJPY)の上値を抑制する要因、または下落要因となろう。


ポンド円、目先のチャートポイント

上昇局面では3つの移動平均線の突破が焦点に
ポンド円(GBP/JPY)は先週21日、大陰線で下落基調のトレンドチャネルの下限を下方ブレイクする局面が見られた(日足ローソクの下ヒゲ)。

現在はチャネル内を維持しているが、先週22日の日足ローソクが長い上ヒゲ付きの ”上影陽線” だったことを考えるならば、上で述べたとおり目先は上値の重い展開、または下落相場を警戒しておきたい。

ポンド円の地合いの弱さを確認する観点から、ポンド円の上昇局面ではトレンドチャネル内で推移している3つの移動平均線の攻防に注目したい。

最初の焦点は、今月に入り相場の反発を止め続けている10日線である。この移動平均線は今日現在、182.70レベルで推移している。

ポンド円が10日線の上方ブレイクに成功する場合、次は50日線のトライが焦点となろう。この移動平均線は今日現在、183.20レベルで推移しており、サポートからレジスタンスへの転換が焦点となろう。

ポンド円が50日線の突破にも成功する場合は、21日線のトライが焦点として浮上しよう。このラインは今日現在、183.66レベルで推移している。

日足のストキャスティクスは売られ過ぎの水準にある。短期的にせよポンド円が、上で取り上げた各レジスタンスの水準をトライする可能性を示唆している。

上限の突破に成功しない限り
なお、ポンド円(GBPJPY)が最後の移動平均線である21日線の突破に成功しても、上昇トレンドへ回帰したと判断するのは早いだろう。

これを判断するためには、ポンド円がトレンドチャネルの上限(レジスタンスライン)を完全に突破したことを確認する必要がある。

ゆえにトレンドチャネルの上限で相場の戻りが止められる場合は、ポンド円の下落相場を意識する状況が続くと予想する。

ポンド円のチャート:日足 23年7月以降

ポンド円のチャート:日足 23年7月以降 TradingView提供のチャートで作成


下落局面では178円と180円の維持が焦点に
一方、ポンド円(GBP/JPY)の下落局面では、先週21日の安値180.85レベルの攻防が目先の焦点となろう。

ポンド円がこの水準を完全に下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準180.32レベルのトライが次の焦点となろう。このテクニカルポイントの下方ブレイクは、ポンド円の180円トライのシグナルとなろう。

ポンド円が180円以下の攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準178.79レベルの攻防が焦点となろう。

ポンド円がこのテクニカルポイント(178.79レベル)をも下方ブレイクする展開は、ポンド売りまたは円買いの圧力が相当強まっていることが予想される。ゆえに、一気に178円をトライすることが予想される。

ポンド円が178円をも下方ブレイクする場合は、7月28日の安値176.33レベルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい。

ポンド円のチャート:日足 23年7月以降

ポンド円のチャート:日足 23年7月以降 TradingView提供のチャートで作成

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