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ポンドドル (GBP/USD):目先の見通しとチャートポイント

強い経済指標の内容を受けて、米金利は上昇トレンドを維持している。外為市場では米ドル高優勢の状況にある。このタイミングで英中銀のベイリー総裁は、利上げサイクルの終了が近いことを示唆した。ポンドドルの見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・8月の米ISM非製造業景況指数は予想以上の内容となった
・米金利は上昇トレンドを維持し、11月FOMCでの利上げ確率が40%台へ上昇している
・英中銀のベイリー総裁は、利上げサイクルの終了が間近であることを示唆した
・ヘッドアンドショルダーの状況にあるポンドドルは下値トライを意識する状況にある
・ポンドドルが反発する場合は1.26レベルの攻防に注目したい


強い米経済指標と追加利上げの思惑

8月のISM非製造業景況指数は54.5と、市場予想の52.5を上回った。新規受注は57.5と、6カ月ぶりの高水準に達し、雇用指数は54.7と21年11月以来の高水準となった。

ISM非製造業景況指数の強い内容を受け、米債市場では利回りが上昇基調を維持した。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは5.0%台へ到達した。一方、10年債利回りは4.3%を付ける局面が見られた。

ボストン地区連銀のコリンズ総裁はこの日の講演で、データ次第としながらも一段の引き締めの可能性に言及した。2年債利回りの上昇に連動するように、短期金融市場では10月31日~11月1日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率が40%台まで上昇している。9月のFOMCは11月の利上げを見極めるための重要なイベントになろう。

米金利のチャート:日足 年初来

米金利のチャート:日足 年初来 ブルームバーグのデータをもとに作成

ポンドドル(GBP/USD):目先の見通しとチャートポイント

最終局面に近づいている英中銀の利上げサイクル
イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は6日、利上げサイクルについて「頂点にかなり近づいている(much nearer)」と述べた。

短期金融市場では、一時6%台まで上昇していた予想ターミナルレートが、現在では5.6%台まで低下する状況にある。

インフレの低下を阻む懸念材料のひとつが、賃金の上昇である。この点は英中銀の要人も認識している。よって、来週12日の雇用関連指標で賃金インフレの抑制が確認される場合、短期金融市場や外為市場では、利上げサイクル終了の可能性をさらに織り込むことが予想される。

米金利が上昇トレンドを維持しているタイミングで英利上げサイクル終了の織り込みが進行すれば、外為市場ではポンド売りの圧力が対米ドルで高まることが予想される。

米経済指標にらみの状況が続く
8月のISM非製造業景気指数が米国のサービス業の堅調さを示し、景気の先行き懸念を後退させた。景気の底堅さは、現在の米金利の上昇を支えている一因である。

今日は週間の米新規失業保険申請件数が発表される。雇用市場の堅調さを示す場合は「米金利の上昇→米ドル買い」を受けて、ポンドドル(GBP/USD)は下値をトライすることが予想される。

ヘッドアンドショルダーと1.2310レベルの攻防
ポンドドルは、変則的ながらもヘッドアンドショルダーの状況にある。ネックラインを1.26レベルと想定する場合、ヘッド(山)との値幅を考えるならば1.2057レベルまで下落する可能性がある(下の日足チャート、赤ラインを参照)。

しかし、これは中長期の見通しである。目先は、2つのサポート水準での攻防に注目したい。

ひとつは、3月8日の安値(1.1804レベル)と7月14日の高値(1.3143レベル)の半値戻しの水準1.2474レベルの攻防である。昨日は、この水準の上で相場がサポートされた。この状況は、半値戻しの水準が意識されていることを示唆している。

ポンドドルが1.2474レベルを完全に下方ブレイクする場合は、もうひとつのサポート水準である1.2310前後の攻防となるかどうか?この点に注目したい。

1.2308レベルは5月25日の安値水準にあたる。一方、1.2315レベルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。

過去の推移とテクニカルの面で1.2310前後はポンドドルの下落局面で、重要なサポートの水準になり得る。

ポンドドルがこの水準(1.2310前後)をも完全に下方ブレイクする場合は、上で述べた1.2057レベルのトライを意識することになろう。

反発の局面では1.26レベルの攻防が焦点に
一方、さえない経済指標による米金利の低下などでポンドドル(GBP/USD)が半値戻しの水準1.2474レベルを維持する場合は、短期的な反発を想定しておきたい。

このケースでは、1.2600レベルがレジスタンスの水準として意識されるかどうか?この点を確認したい。今日現在、10日MAが1.26レベルと交錯している。テクニカルの面でも1.2600レベルは相場の反発を止める可能性のある水準である。

ポンドドルが1.26レベルすら突破できない場合は、上で述べたサポートの水準をトライする展開が続くと予想する。

一方、ポンドドルが1.26台へ上昇する場合は、21日MAのトライが次の上値ターゲットとなろう。この移動平均線は今日現在、1.2654レベルで推移している。

ポンドドルのチャート:日足 2月以降

ポンドドルのチャート:日足 2月以降 TradingView提供のチャートで作成

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