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【ポンドドル (GBPUSD)】今週の見通しとチャートポイント

今週は、英国の10月消費者物価指数(CPI)がポンドドル(GBPUSD)のトレンドを左右するだろう。今週のポンドドルの見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※今週のドル円の展望については、こちらをご覧ください


サマリー

・今週のポンドドルは、10月の消費者物価指数で上下に振れる展開が予想される
・米国の経済指標もポンドドルの変動要因となろう
・ポンドドルの下落局面では、21日線と1.21レベルの攻防に注目したい
・ポンドドルの上昇局面では、75日線の攻防が焦点となろう


英国の物価指数(CPI)とポンドドルの展望

米国の物価指数のほか、今週は10月の英国消費者物価指数(CPI、15日)も発表される。現時点での市場予想を確認すると、サービス価格を含めインフレがさらに鈍化する見通しとなっている。

英国 消費者物価指数の動向:月次 22年10月以降

英国 消費者物価指数の動向:月次 22年10月以降 ブルームバーグのデータで作成 / 赤バーチャート・ドット:10月の市場予想


11月2日の金融政策委員会(MPC)で英中銀(中央銀行、BOE)は、政策金利を5.25%に据え置いた。インフレリスクに対する警戒を維持しつつも、超過需要が減少の傾向にあり、経済成長率が中期的に低迷する可能性があること、そして失業率が今後上昇する可能性があることが据え置き決定の理由として挙げられた。

ベイリーBOE総裁は、インフレの動向次第で利上げの必要性を判断していく姿勢を示している。しかし短期金融市場では、次回MPC(12月14日開催)での利上げ確率が10%を割り込む状況にある。

BOEの利上げサイクル終了が意識されるなか、10月CPIでさらなるインフレの鈍化が確認される場合は、英ポンド売りの要因となろう。

一方、10月CPIが予想外にインフレ圧力の根強さを示す場合は、英ポンド買いの要因になり得る。しかし、対米ドルでのポンド高の持続性は、こちらのレポートで取り上げた米国の経済指標次第となろう。

英国の物価指数が予想外に上昇しても、米国の経済指標でインフレ圧力の根強さと個人消費の底堅さが確認される場合は、米英の景況感格差が意識されることで、ポンドドル(GBP/USD)の上昇幅は限定的となるか、または米ドル買いを受け下値をトライすることが予想される。


米英の利回り格差とポンドドルの関係

ポンドドル(GBP/USD)は現在、英米の利回り格差がトレンドの決定要因となっている。

各年限の利回り格差との相関関係を確認すると、今年は5年債の利回り格差(5YTスプレッド)とより高い逆相関の関係にある。次いで、10年債利回り格差と高い逆相関の関係にある。

ゆえに今週は、米英の経済指標発表後の5年債や10年債の利回り動向が焦点となろう。

ポンドドルと米英利回り格差の相関関係

ポンドドルと米英利回り格差の相関関係 ブルームバーグの為替データで作成 / 23年以降の相関係数(データ数:226)


そして両市場のトレンドを日足チャートで確認すると、米英利回り格差の縮小局面ではポンドドル(GBP/USD)が上昇し、米英利回り格差の拡大局面ではポンドドルが下落する関係にあることが分かる(下のラインチャートを参照)。

ポンドドルと米英利回り格差のチャート:日足 年初来

ポンドドルと米英利回り格差のチャート:日足 年初来 ブルームバーグのデータで作成

上昇局面でのチャートポイント

今週の英米の債券市場は、物価指数で上下に振れる展開が予想される。

上で述べたとおり、米国のインフレ圧力の根強さが確認される一方、英国のそれが鈍化の傾向を示せば、米英の利回り格差(特に5年債の利回り格差)が拡大することで米ドル買い優勢の展開が予想される。このケースでは、ポンドドル(GBP/USD)の下落を想定しておきたい。

ポンドドルの下落局面で目先注目すべきは、先週の下落相場を止めた21日線の攻防である。この移動平均線は今日現在、1.2200レベルで推移している(下のチャート、青ラインを参照)。

ポンドドルが21日線を完全に下方ブレイクし、かつこの移動平均線が相場の反発を止める場合は、1.21台への下落を想定しておきたい。このケースでは、サポートの水準として意識されている1.21レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。

なお、ポンドドルが1.21レベルをトライする場合は、10月4日の安値1.2038レベル(下チャートの赤ラインを参照)を視野に下落幅が拡大するのか?それとも1.21レベルを下限にレンジ相場へシフトするのか?を見極めるための重要な攻防であることを意識しておきたい。

ポンドドルのチャート:日足 23年5月以降

ポンドドルのチャート:日足 23年5月以降 TradingViewが提供するチャートで作成

下落局面でのチャートポイント

米国のインフレ鈍化が続く一方、英国のインフレ圧力の根強さが予想外に示される場合は、一時的なポンド買いの展開を想定しておきたい。このケースでは、1.23台への再上昇と75日線の攻防となるかどうか?これらの点に注目したい。

特に今月6日に相場の上昇を止めた75日線の攻防は重要である(上のチャート、黄色ラインを参照)。今日現在、1.2404レベルで推移しているこの移動平均線が再び相場の上昇を止める場合は、ポンドドルの地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。

ポンドドルが1.23台を目指すシグナルとして、目先は1.2240レベルの攻防に注目したい(下の1時間足チャート、赤ラインを参照)。この水準は、サポートの水準から相場の反発を止めるレジスタンスの水準へ転換する可能性がある。また、直近高安の半値戻し1.2247レベルとともにレジスタンスゾーンを形成する可能性もある。

ポンドドルが上のレジスタンスゾーンを突破し1.22ミドルの攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.2262レベルや76.4%の水準1.2280レベルの攻防が焦点となろう。

ポンドドルが、上で述べたレジスタンスの水準をことごとく突破する場合は、1.23台への再上昇と75日線のトライを意識したい。

なお、ストキャスティクスとRSIでは相場の短期的な過熱感は見られない(上のチャートを参照)。今週、ポンドドルが上下どちらかに大きく動くならば、やはり米英の物価指数がそのきっかけとなる可能性が高いだろう。

ポンドドルのチャート:1時間足 11月8日以降

ポンドドルのチャート:1時間足 11月8日以降 TradingViewが提供するチャートで作成

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