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【ドル円】今日の見通しとチャートポイント

上昇トレンドを維持しているドル円の焦点は現在、2つの点に絞られている。そして今後は、円高リスクを警戒する局面へシフトする可能性がある。2つの焦点とは?円高リスクを警戒すべき理由は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※ECB理事会とユーロドルの見通しについては、こちらをご覧ください


サマリー

・ドル円の焦点は、テクニカルの面で2つの点に絞られている
・上昇局面が続いても、今後は円高リスクを警戒する局面へシフト展開が予想される
・短期サポートラインを維持するも、通貨オプション市場は円高を警戒するムードに
・目先、注目しておきたいドル円のチャートポイントについて


絞られたドル円の焦点

ドル円(USD/JPY)の焦点は現在、テクニカルの面で2つの点に絞られている。

ひとつは、上昇の局面で148.00レベルをブレイクアウトできるかどうか?である(下チャートの赤ラインを参照)。

もう一つは、短期サポートラインの維持である。昨日はこのラインの維持に成功した。今日現在、21日線(146.40レベル)がこのラインとクロスしている。ゆえに、ドル円の下落局面ではこのラインの維持が焦点となろう。

一方、ドル円が上昇トレンドを維持する場合は、148.00レベルのトライおよびブレイクアウトに注目したい。

実際にドル円がこの水準を突破する場合は、調整の反落局面で “サポート転換” となるか?この点も148.00レベルで注目しておきたいポイントである。

昨日の高値147.25レベルを完全に上方ブレイクする場合は、148.00レベルを目指すシグナルと想定しておきたい。ドル円の変動要因として今日は、米国の8月CPIの内容が注目される。

ドル円のチャート:日足 7月以降

ドル円のチャート:日足 7月以降 TradingView提供のチャートで作成


上昇局面でも円高リスクを警戒しておきたい

ドル円(USD/JPY)が上昇トレンドを維持しても、円高リスクを警戒する局面にシフトしつつあると筆者は考えている。今後、外為市場では日米中銀の政策転換を強く意識する局面へシフトすると思われるからだ。

円高のリスクに重きを置くならば、より注視すべきは日銀の動向とそれに関するヘッドラインとなろう。

9日付の読売新聞に掲載された植田日銀総裁の単独インタビューは、近い将来の政策転換を事前に発信することによる “地ならし” が、目的の一つにあると考えられる。

しかし、実際に政策の転換を行うとすれば、それを正当化するための具体的なデータが必要である。現時点ではそのデータが乏しい。

例えば植田日銀が重視する賃金の動向を確認すると、7月の実質賃金は前年同月比で2.5%減と、16カ月連続でマイナスとなった。

賃上げのムードは確かに高まっている。しかし、そのペースが物価高の勢いに追いついていない状況は、国内の個人消費の伸びを抑制する要因である。個人消費の抑制傾向が続けば、需要拡大によるインフレ(デマンドプルインフレ)が発生する可能性は高まらないだろう。

日本のインフレ率と実質賃金の動向:月次 21年以降

日本のインフレ率と実質賃金の動向:月次 21年以降 ブルームバーグのデータをもとに作成


また、海外では欧州の景気減速が鮮明となり、今後は米国の景気も減速していくことが予想される。

このような国内外の情勢を考えるならば、植田日銀総裁が読売新聞の単独インビューに応じた真の目的は、円安をけん制することあるかもしれない。



通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、ドル・プットへの傾きが続き、円高のリスクを警戒するムードにある。

上で述べたとおり、テクニカルの面でドル円は短期サポートラインを維持している。しかし、リスクリバーサルの動向を考えるならば、上昇トレンドが続く中でも不意打ちのような円高(ドル円の下落)を警戒する局面にある。

ドル円とリスクリバーサルのチャート:日足 5月以降

ドル円とリスクリバーサルのチャート:日足 5月以降 ブルームバーグのデータをもとに作成

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