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【ドル円 (USD/JPY)】今週の注目材料は米国の物価指数/ 今日のチャートポイント

12月の米雇用統計は労働市場の底堅さを示した。しかし外為市場では米ドル買いが続かず、ドル円(USDJPY)は146.00レベルが新たな上値の水準として浮上しつつある。今週の注目材料は?今日のドル円の見通しは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・強い雇用統計を受けても週明けの外為市場は米ドル安優勢の展開となった
・今週の米債市場と米ドル相場は、米国の物価指数で上下に動く展開が予想される
・ドル円の上昇局面では、戻り売りを意識したい
・ドル円の下落局面では、200日線と21日線の攻防が焦点となろう


今週も経済指標にらみの展開に

8日の外為市場は米ドル安優勢の展開となった。

先週5日に発表された12月の米雇用統計は、労働市場の底堅さを示す内容となった。他の雇用関連指標でも労働市場の底堅さが示された。

先週の米雇用指標の内容を受け、米債市場では10年債利回り(長期金利)が4%台へ上昇した。また、短期金融市場では、3月の利下げ確率が60%前後まで低下している。

米10年債利回りと米ドル相場の動向:5分足 12月米雇用統計以降の動向

米10年債利回りと米ドル相場の動向:5分足 12月米雇用統計以降の動向 TradingViewが提供するチャートで作成


一方、同日に発表された12月のISM非製造業景気指数は50.6と、市場予想の52.5を下回った。 それ以降、米債市場では利回りの上昇が抑制され、週明け8日の市場でも4%を割り込む局面が見られた。そして週明けの外為市場は、米ドル安優勢の展開となった。

経済指標の内容に対して敏感に反応している今の状況を考えるならば、今週の米債市場と米ドル相場は、引き続き米国の経済指標で上下に振れる展開が予想される。


注目材料は米国の物価指数

今週11日に12月の米消費者物価指数(以下CPI)が発表される。そして12日には同月の生産者物価指数(以下PPI)が発表される。今週はこれら米国の物価指数が米債市場と米ドル相場の変動要因になり得る。

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:2022年12月以降

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:2022年12月以降 ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフ・ドット:市場予想


12月CPIは、総合の前月比と前年同月比で小幅に上昇する見通しとなっている。

一方、市場参加者が重視するコア指数(変動の大きい食品とエネルギーを除いた指数)は前月比で横ばい、前年同月比ではインフレが鈍化の傾向を辿る見通しとなっている(市場予想は上のチャート、赤の棒グラフとドットを参照)。

焦点は、コア指数で予想外にインフレ圧力の根強さが確認される場合である。上で述べたとおり、先週の米雇用関連指標は労働市場の底堅さを示した。このタイミングでコアCPIがインフレ圧力の根強さを示唆する場合は、「米金利の上昇→米ドル買い」の要因になり得る。

一方、インフレの鈍化傾向があらてめて確認される場合は、「米金利の低下→米ドル安」の要因になり得る。

12月PPIも各市場の変動要因となり得る。現時点での市場予想を確認すると、前年同月比のコア指数以外はインフレの鈍化が一服する見通しとなっている(市場予想は下のチャート、赤の棒グラフとドットを参照)。前日の12月CPIでインフレ圧力の根強さが確認され、かつPPIでも同じ状況が示される場合は、米金利の反発と米ドル買いの展開が予想される。

一方、これら物価指数でインフレの鈍化傾向があらためて確認される場合は、逆の展開(米金利の低下と米ドル安の展開)を想定しておきたい。

米国 生産者物価指数(PPI)の動向:2022年12月以降

米国 生産者物価指数(PPI)の動向:2022年12月以降 ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフ・ドット:市場予想

ドル円、今日の見通しとチャートポイント

146.00レベルが新たな上値の水準に
ドル円(USDJPY)は146.00レベルが新たな上値の水準として浮上してきた。

テクニカルの面では、直近高安の半値戻しの水準146.08レベルが、今後の上昇局面で新たなレジスタンスの水準として意識される可能性があろう。

ドル円のチャート:日足 昨年11月以降

ドル円のチャート:日足 昨年11月以降 TradingViewが提供するチャートで作成


今週、ドル円が146.00レベルをトライするきっかけとなり得るのが、強い経済指標である。

上で述べた物価指数の他、週間の新規失業保険申請件数で労働市場の底堅さが示される場合も、ドル円の上昇要因となる可能性がある。

だが、強い経済指標が米ドル買いの要因となっても、ドル円の上昇局面では戻り売りを意識しておきたい。

12月の米雇用統計では雇用増と賃金インフレの根強さが確認された。しかし、先週5日の日足ローソク足のかたちを確認すると、長い上ヒゲが示現し146.00レベルでの上値の重さが示された。そして週明けは米ドル安優勢を受け、143.66レベルまで下落する局面が見られた。

強い雇用統計を受けても米ドル買いが続かなかった状況は、外為市場で米ドル相場の先安観が意識されていることを示唆している。ゆえに、ドル円の上昇局面では戻り売りを意識しておきたい。

しかし、能登半島地震を受けて日銀による早期の政策転換の思惑が後退している。この点は円安の要因である。ゆえに米ドル安のみでは、ドル円の下落幅は限られる可能性がある。

下落局面での焦点は?
一方、今週の経済指標が米ドル安の要因となる場合は、200日線(今日現在143.37レベル)と21日線(今日現在142.80レベル)の攻防が焦点となろう。

これら移動平均線で相場がサポートされる場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。このケースでは、上で述べた146.00レベル(半値戻しの水準)のトライを常に意識しておきたい。

1時間足チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメントの水準を確認すると、今日現在、半値戻しの水準は200日線が推移している水準と重なる。また、61.8%の水準には21日線が推移している。

今日の東京時間に200日線(半値戻しの水準)をトライする状況が見られている。ドル円がこれらテクニカルポイントを完全に下方ブレイクする場合は、21日線を視野に下落幅が拡大する可能性が出てくる。

ドル円が21日線をトライするシグナルとして注目したいのが、サポート水準へ転換する可能性のある142.85レベルの攻防である(下のチャート、黒矢印を参照)。

ストキャスティクスとRSIで相場のトレンドを確認しながら、これらオシレーター指標が売られすぎの水準へ低下する局面で、ドル円が上で述べたテクニカルやサポートの水準をトライする場合は、反発相場を想定しておきたい。

ドル円のチャート:1時間足 昨年12月26日以降

ドル円のチャート:1時間足 昨年12月26日以降 TradingViewが提供するチャートで作成

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