今週の注目材料と外為市場の展望
今週の注目材料は米国のインフレ指標、小売売上高そしてFOMC議事要旨となろう。それぞれの注目ポイントは?外為市場の展望は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
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サマリー
・今週の焦点のひとつは3月米雇用統計を精査した市場の反応
・今週の注目材料は米国のインフレ指標、小売売上高、FOMC議事要旨
・外為市場とドルインデックスの展望について
3月米雇用統計を精査した市場の反応
米労働省が先週7日に発表した3月の雇用統計によれば、非農業部門雇用者数変化は23.6万人増と再び鈍化の傾向へ転じたことが示された一方、失業率は2月の3.6%から3.5%へ低下し、雇用市場が未だに堅調であることを示唆した。
また、平均時給(前年同月比)は4.2%と2月の4.6%から低下し賃金インフレの抑制傾向があらためて確認された。
非農業部門雇用者数変化、失業率、平均時給の推移
今週の焦点のひとつは、3月米雇用統計の内容を精査した各市場の反応である。
雇用統計が発表される前の雇用関連の経済指標ではさえない内容が続き、労働市場の冷え込みに対する懸念が意識される状況にあった。今回の雇用統計はその懸念をひとまず後退させる可能性がある。賃金インフレの抑制傾向が確認されたことも考えるならば、米国株は底堅く推移し、米金利は低下または上昇してもその幅が限られることが予想される。ゆえに外為市場では、米ドル安優勢の展開が予想される。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は反発の基調にある。しかし、10日MA(102.14レベル)で戻りが止められる状況が続いている。3月雇用統計の内容を受けて米国株の上昇と米金利の低下基調が続く場合は10日MAがレジスタンスとなり、先週5日の安値101.41レベルを再びトライすることが予想される。
ドルインデックスのチャート
注目しておきたい3つの材料
注目材料1:米国のインフレ指標
米国株と米債市場のトレンドを左右する他の要因として、今週注目すべき材料が3つある。ひとつは、米国のインフレ指標である。
今週12日に3月消費者物価指数(CPI)、13日に同月生産者物価指数(PPI)が発表される。CPIは昨年の6月をピークに鈍化の傾向を辿っている。PPIはCPIよりも早く昨年の3月をピークに鈍化の傾向へ転じている。これらインフレ関連の経済指標で引き続き鈍化の傾向が確認される場合は、上で述べた米国株の上昇と米金利の低下基調が予想される。外為市場では米ドル安優勢の展開が予想される。
一方、CPIやPPIで予想外にインフレ圧力の根強さが確認される場合は、米国株の下落と米金利の反発要因となろう。
ドルインデックス(DXY)のMACDは横ばい推移へと転じている(上の日足チャートを参照)。一時的にせよドル安圧力の後退が示唆されているタイミングで上のインフレ指標が米ドル買い要因となれば、ドルインデクスは10日MAをブレイクしよう。このケースでは、レジスタンスへの転換が確認されている103.00レベルを視野に上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。だが、50日MA(103.48レベル)をブレイクしない限り、米ドル安を意識する状況が続くと予想する。
インフレ率の推移:前年同月比
注目材料2:米国の小売売上高
現在は、米国経済の先行きリスクが各市場で意識されている。
今週14日に3月の小売売上高が発表される。米国経済のけん引役である個人消費の動向を考える上で重要視される小売売上高の内容も米国株と米金利のトレンドに影響を与える可能性が高い。
3月の市場予想は前月と同じく0.4%減(前月比)。自動車を除くコア指数は同比で0.1%減から0.4%減へ低下する見通しである。予想以上の落ち込みが確認される場合は米国経済の先行きリスクが意識され、米国株の下落と米金利の低下が予想される。このケースでの外為市場では、円やスイスフランの買い圧力が高まることが予想される。米ドルはこれら通貨(円やスイスフラン)に対して下落する一方、豪ドルや新興国通貨に対しては上昇することが予想される。
小売売上高の推移
注目材料3:FOMC議事要旨
連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容も米ドル相場のトレンドを左右する材料となろう。
金融システム不安の発生とそれにともなう経済の先行きリスクが高まる状況にあるなかでもパウエルFRBがインフレの抑制を重視し、この先も引き締め政策維持に重点が置かれた議論を行っていたことが判明する場合は、米金利の上昇と株安の要因となろう。外為市場では、米ドルを買い戻す圧力が高まることが予想される。
一方、金融システム不安と経済の先行きリスク、そして早期の利上げ停止について重点的に議論されていた場合は、米ドル安の要因となろう。
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